姿消した生き物、貴重な標本紹介 観音崎自然博物館

「宮崎コレクション」の貴重な貝類を説明する山田学芸部長=18日、観音崎自然博物館

 観音崎自然博物館(横須賀市鴨居4丁目)の創立70周年を記念した特別展「三浦半島と東京湾 70年前の自然」が9月30日まで、同館で開催されている。今では姿を消した生き物の貴重な標本などが約20点のパネルと共に展示されている。

 1953(昭和28)年6月創設の同博物館だが、89年の新館移転などで記録や標本がほとんど残っていない。外部の協力を得て、50~70年代の標本や写真を展示している。

 横浜の小学校教師による、世界各地の貝を集めた「宮崎コレクション」の注目は52~55年ごろ、本牧地区で採集したヘナタリやミノクジャクガイ。現在は埋め立てられており、当時の環境状況が分かる資料だ。

 記録では、創設当初には観音崎の海岸でアイナメやマボヤなど東北の海域に生息している生物が確認されていた。当時は東京湾の海水温がかなり低かったことを裏付けている。

 ほかにも白やオレンジ色のカラフルな二枚貝のアズマニシキ、公害が社会問題化した70年代に横浜市金沢区の湾内で採取した奇形ハゼの標本などが並ぶ。

 山田和彦学芸部長は「過去の自然環境を知ることで今後の対応を考えるヒントがある。そのためにも、標本や記録は大切になる」と話している。

 期間中、団体利用のため観覧できない日がある。問い合わせは同博物館、電話046(841)1533。

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