レッドブル&HRC密着:アップデートを投入も、ATAに備えてタイヤを温存。2台ともにトップ10圏外で初日を終える

 いつもタイミングモニターの最上位にドライバーの名前をつけていたレッドブルが、F1第12戦ハンガリーGP初日はふたりそろって、2回のセッションともトップ10圏外に終わった。今シーズン開幕から10連勝しているレッドブルとしては、初めての珍事だった。

 理由は3つある。

 ひとつは、フリー走行1回目のセッション序盤にセルジオ・ペレスがスピンし、タイヤウォールにクラッシュしたことだ。

クラッシュ後、回収されたペレスのマシン

 フリー走行1回目をわずか2周で終えたペレスにとって、2回目のフリー走行はタイムを出すことより、レースに向けてミスなくロングランをすることが優先された。

 ふたつ目の理由は、ペレスがクラッシュして赤旗が出た直後に雨が降り出し、フリー走行1回目に完全なドライコンディションで走り込みができなかったことだ。もちろん、状況は他チームも同様だが、今回レッドブルは今シーズン最大のアップデートパーツを持ち込んでいたため、フリー走行1回目はドライコンディションでできるだけ走り込んでから、2回目のフリー走行に向けてセットアップを調整したかった。それができなかったため、マックス・フェルスタッペンは2回目のフリー走行でもタイムを出すことよりも、ほかのメニューを優先させていた。

開口部が薄くなったレッドブルRB19のサイドポンツーン

 そして、最後の3つ目は、今回のハンガリーGPは代替タイヤ配分方式(ATA)が初めて導入された週末となっていたことだった。これは予選のQ1はハード、Q2はミディアム、そしてQ3がソフトと事前に使用するタイヤが割り当てられた制度で、週末に供給されるタイヤの配分も数も異なっている。合計13セットだったのが11セットとなり、なかでも最も大きな変更が8セットだったソフトが4セットになっていることだ。つまり、予選でQ3進出を前提にしているレッドブルとしては、ソフトタイヤはできるだけ温存したかった。

「この新しいフォーマットでは使えるタイヤが非常に限られていて、今日はあまり使いたくなかった。だから明日はもっといい準備ができるはずだ」(フェルスタッペン)

 時折、雨が降り、比較的低温だった金曜日から、土曜日は気温が大幅に上昇することが予報されている。気温とともに、レッドブルの2台のタイムもアップするのか、注目したい。

クラッシュしてガレージに帰ってきたマシンを厳しい表情で見つめるクリスチャン・ホーナー代表とペレス

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