コアジサシ 人工島でこつこつ営巣 玉島、環境保護団体がひな確認

親鳥のおなかの下で暑さをしのぐコアジサシのひな=19日、倉敷市玉島乙島の人工島内

 岡山県のレッドデータブックで最上位の「絶滅危惧I類」に指定されている渡り鳥「コアジサシ」が、倉敷市玉島乙島の人工島・玉島ハーバーアイランドでこつこつと営巣し、ひながかえっている。同島は県内唯一の飛来地とされ、地元の環境保護団体「たましま干潟と鳥の会」が確認した。

 6月中旬、島中央部にある食品工場の砂利敷きの空き地に巣があるのを見つけた。今月19日までに約30組のつがいが営巣し、3羽が生まれているのを確かめた。繁殖は2年ぶりという。いずれも鶏卵ほどの大きさで、灰色の綿毛に包まれたような愛らしい姿。親鳥が真夏の強い日差しを遮るため、おなかの下でかばったり、小魚を口移しで与えたりして子育てにいそしんでいる。

 カモメの仲間であるコアジサシは体長約25センチで、黄色いくちばしや顔を横切る黒いラインが特徴。東アジアとオーストラリアを行き来し、日本には春から夏にかけてやって来る。カラスやヘビなどの外敵から卵とひなを守るため集団で巣を作るが、営巣に適した荒れ地や河原が護岸整備や開発によって失われ、急速に生息数が減っている。

 食品工場は営巣中、周辺を原則立ち入り禁止にしており、工場長の小島良朗さん(54)は「無事に巣立つことができるように見守りたい」と話している。

営巣するコアジサシの群れ
ホバリングするコアジサシ

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