伯桜鵬が逆転、首位で千秋楽へ 底知れぬ強心臓、初優勝懸け

伯桜鵬(右)が突き落としで北勝富士を破る=ドルフィンズアリーナ

 右足一本で踏みとどまり、土俵際で体をねじりながら逆転の突き落とし。19歳の伯桜鵬が11勝目を挙げ、トップに並んだ。取組前から「伯桜鵬コール」に沸く満員御礼の館内は万雷の拍手に包まれ「歓声をしっかりと力に変えて集中できた」。勢いに乗り、記録ずくめの初優勝が懸かる千秋楽へと向かう。

 相手は単独首位の北勝富士。「思ったより距離が近く、やりづらいイメージだった」という。左四つで右上手が引けず、押し込まれても持ち味の粘り腰を発揮。物言いの末、1分近い熱戦を軍配通りに制し「残せると思ったので焦りはなかった。相手に勝つことだけを考えて土俵に上がり、結果的に勝っただけ」と事もなげに言ってのける。

 底知れない強心臓の持ち主だ。13日目の錦木戦。左四つから土俵中央で動きが止まると、テレビ解説席に座る師匠の宮城野親方(元横綱白鵬)の顔が見えたという。現役時代の師匠が組み合った際に相手の呼吸の乱れを待ったという逸話を思い出し、内掛けで勝負を決めた。

 10代で初優勝すれば1992年初場所の貴花田以来2人目となる。

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