山之口貘賞にローゼル川田さん 来月6日に贈呈式

 沖縄を代表する詩人、山之口貘(1903~63年)の文学を受け継ぐ詩作品や詩活動を表彰する第45回山之口貘賞(主催・琉球新報社、後援・山之口貘記念会、南海日日新聞社)の選考会がこのほど那覇市の琉球新報社で開かれ、ローゼル川田(本名・親泊仲眞)さん(74)=那覇市=の詩集「今はむかし むかしは今」が受賞作に選ばれた。贈呈式は8月6日、那覇市の琉球新報ホールで開催する予定。

 

 応募詩集は6冊だった。受賞作は12編の詩を収め、私的な体験から沖縄の懐かしい風景や沖縄戦の痕跡を浮かび上がらせた。

 選考委員は以倉紘平氏(詩人、H氏賞、現代詩人賞、丸山薫賞受賞)、高橋順子氏(詩人、読売文学賞、藤村記念歴程賞、三好達治賞受賞)、市原千佳子氏(詩人、丸山豊記念現代詩賞、山之口貘賞、沖縄タイムス芸術選賞大賞受賞)。

 受賞作について「米統治下の沖縄を生き抜き、戦死者の家族の深い悲しみを語った本詩集に感動した」(以倉氏)、「沖縄の苦難の歴史の中に大切な自分史を織り込んで力強い叙事詩になっている」(高橋氏)、「沖縄の大地は不発弾と遺骨を共に抱きしめる。残酷な戦後をさらに抱きしめた情念の詩集」(市原氏)などと評価した。  (伊佐尚記)

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