山村の廃校で画家「M氏」「T氏」の匿名展 ピカソ思わせる人物像も 売上は猫の不妊去勢手術に

力強い筆さばきが目を引く「M氏」の作品が並ぶ会場(南丹市日吉町・旧五ケ荘小)

 京都府南丹市日吉町の旧五ケ荘小で、2人の男性画家の作品を飾った企画展が開かれている。いずれも故人で、作品が同小のギャラリー運営メンバーに譲られた縁で企画。ともに匿名での展示で、「M氏」の躍動的な抽象画と「T氏」の静かな風景画の対比を楽しめる。

 M氏の作品は4月ごろ、遺族である知人からメンバーが譲り受けた。緻密に描き込まれた抽象画の力強さに引かれ、別のメンバーが30年以上前に作家から受け取ったT氏の作品と併せた展示を企画。匿名を条件に、遺族からも了承された。

 会場にそろうM氏の約30点は、ピカソを思わせるデフォルメした人物像や、力強い線が踊る鮮やかな抽象画など。アクリル板の両面に描き、色の重なりを楽しめる作品もある。

 T氏の約10点は、やや細長いキャンバスに河川を描き、奥行きや広がりが強調される。企画者の一人、井筒有紀さん(61)は「動と静のそろう空間を楽しんで」と話した。

 1点千円以上で購入でき、売り上げは猫の不妊去勢手術の関連費用に充てる。30日までで入場無料。月曜休み。午前9時~午後5時。

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