ギャラリーの役割考察 創作体験イベントも 水戸 3施設連携の企画展

塗り絵のワークショップの参加者に寄り添う曽谷朝絵さん(右)=水戸芸術館現代美術ギャラリー

水戸市五軒町の水戸芸術館を主会場に、企画展「アートセンターをひらく 2023-地域をあそぶ」が22日、始まった。普段は展示と鑑賞に使われる同館の現代美術ギャラリーを、「アートが生まれる場」として捉え直す展覧会。現代アートの作品展示に加えて、来場者向けの創作イベントを盛り込むなど、美術ギャラリーの役割を考察する。

同館がコロナ禍前に企画した同名展「アートセンターをひらく」(2019年10月~20年1月)の第2弾。今展は、隣接する水戸市民会館の開館記念事業にも位置付けられ、京成百貨店を含めた3施設が連携する形で実施された。

出品作家(団体)は、日本とインドネシアを拠点に活動するアート集団「KITA」、現代美術家の曽谷朝絵さんと日比野克彦さん、NPO法人記録と表現とメディアのための組織「remo」、建築家の貝島桃代さん、茨城大と筑波大の研究室と学生有志など多彩だ。

主会場となる同館現代美術ギャラリーでは、工作や手芸の材料と道具を備えた創作スペースが設けられ、家族連れが自由にもの作りを体験。曽谷さんが描いた絵を原画とする塗り絵のワークショップにも参加する姿が見られた。

同館を含めた3施設では、曽谷さんが特殊フィルムを構成素材にインスタレーション(空間表現)を展開。雨粒などをモチーフに描かれた作品は見る角度によって色が変化し、来場者はさまざまな表情を楽しんだ。

同館現代美術センターの竹久侑(ゆう)芸術監督は「来場者との関わりを通じ、ギャラリーの中で予定調和の枠を超えた新しいシーンが生まれることを期待したい」と話した。会期は10月9日まで。

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