関東大震災 測量記録を公開 茨城・つくばの国土地理院 機密地図も

関東大震災当時の測量記録や被災地の地図を公開する企画展=つくば市北郷

関東大震災から9月で100年を迎えるのを前に、茨城県つくば市北郷の国土地理院が、初公開を含む当時の測量記録や写真、被災状況の地図を展示している。東京湾近隣の被災状況をはじめ、当時は軍事機密だった詳細な地図が公開されており、担当者は「数々の貴重な資料を見ることができる」としている。展示は10月1日まで。

関東大震災は1923年9月1日正午前に発生。相模湾北西部を震源とするマグニチュード(M)推計7.9、死者・行方不明者約10万5千人、約29万棟が全壊・全焼となった。昼食時間帯の発生だったため火災が発生し、東京の下町を中心に大規模な延焼があった。

旧陸軍参謀本部陸地測量部(国土地理院の前身)は、震災直後から被災状況の調査に着手。戦前、詳細な地図は軍事機密扱いで、地図に書き込む元データとなる測量記録も軍が手がけていた。

展示した図面「関東震災地復旧測量記事」(30年)などは、湘南海岸付近と房総半島先端地域で地盤が1.5メートル以上隆起し、東京・八王子付近では0.7メートル沈下したことを記録。三浦半島の油壺では津波で潮位が欠損し、東京の「日本水準原点」は位置がずれたため初の改訂に至った記録も残る。

東京湾に近い地域の詳細な地図には集落や鉄道、道路の被災状況が描き込まれているが、当時は「秘図」として非公開だった。

茨城県内でも取手など利根川沿いの県南地域を中心に建物倒壊などの被害があり、地図の複写を手に取って確かめることもできる。

国土地理院広報広聴室の塩見和弘室長は「戦前公にされなかった調査結果を活用し、今後研究が進むと期待される。現在の取り組みも参考に災害に備えてもらいたい」と話した。

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