ザ・フー『Who’s Next』10枚組ボックスが発売決定。現代を予見した『Life House』も収録

1971年に発表され現在も大きな影響を与え続けるザ・フーのスタジオ・アルバム5作目『Who’s Next』のスーパー・デラックス・エディション(ボックスセット)が2023年9月15日にリリースされることが決定した。

ザ・フーにしては『My Generation』『The Who Sell Out』『Tommy』『Quadrophenia(四重人格)』に続くスーパー・デラックス・エディションとなる。

現代を予見した『Life House』

今回のヴァージョンには「Baba O’Riley」「Behind Blue Eyes」「Won’t Get Fooled Again(無法の世界)」といったザ・フーの代表曲を収録するだけでなく、『Life House』の音源も収録される。

『Life House』は、ピート・タウンゼントがインターネットの発明を予見し、気候変動による大災害と汚染に悩まされ、個人の自由が制限され、ヴァーチャル・リアリティ体験スーツを使ったエンターテインメント「Grid(グリッド)」に誘惑された人々を描く壮大なプロジェクト。当時はピートによるコンセプトが難解だったこともあり、この作品がそのまま発売されることはなかった。

ピート・タウンゼントは序文で、『Life House』を 「気候問題と汚染に打ちのめされた国の到来を予言する極論」と表現し、「このプロジェクトからは素晴らしい音楽が生まれたし、フィクションの筋書きの多くが現実のものとなっていることもあって、このアイデアにはいつも心を奪われている」としている。

収録内容

スーパー・デラックス・エディションには、長年のフーのエンジニアであるジョン・アストリーによってオリジナル・テープからリマスターされた10枚のCDと、新たに制作された『Who’s Next』ドルビーアトモス&5.1サラウンド・ミックス、プログレッシブ・ロック界のヒーローであるスティーヴン・ウィルソンによる14曲のボーナス・トラックを収録したブルーレイ・オーディオ・ディスクが同梱。全155曲が収録され、そのうち89曲が未発表曲、57曲が新たなミックスとなっている。

この155曲の中には、ピート・タウンゼントが『Life House』のために録音したデモ音源、ザ・フーが1971年にニューヨークのレコード・プラントで行ったセッション音源、1970年から1972年にかけてロンドン南西部のオリンピック・スタジオで行われたセッション音源、1971年にロンドンのヤング・ヴィック・シアターとサンフランシスコのシビック・オーディトリアムで行われた2つのコンサート音源が新たにミックスされて完全収録されている。

音源以外では、ピート・タウンゼント他による解説書(100ページ・ハードカバー・ブック)、『Life House』グラフィック・ノベル(漫画小説)(172ページ・ハードカバー・ブック)、当時のポスターなどのメモラビリアも収納される。日本盤(輸入国内盤仕様)には英文解説とグラフィック・ノベルの日本語訳も付属となる。

スーパー・デラックス・エディションの他には、2CD、1CD、アナログ盤(限定4-LP、限定3-LP、限定カラー1-LP、1-LP)、デジタル配信の各形態でもリリースされる。

Written By Paul Sexton

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ザ・フー『Who’s Next – 50th Anniversary (BluRay/Graphic Novel SDE) (10CD)』
2023年9月15日発売

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