【深掘り】米軍異例、機体の問題を認める オスプレイ事故の調査結果 運用続行は不適切

 2022年にカリフォルニア州で発生したMV22オスプレイの事故を巡り米海兵隊が公表した調査結果からは、クラッチの不具合が完全に防ぐことはできないことが読み取れる。MV22オスプレイの構造上の問題を証明していると言える。いつ不具合や事故が起こるか分からない危険性を抱えた機体が県民の頭上を飛び交っていることを意味する。

 海兵隊によると、操縦士らの人的ミスも、整備の誤りも確認されなかった。米軍や日本政府は16年に名護市安部の浅瀬にオスプレイが墜落した事故では「パイロットのミス」とするなど、これまで機体の欠陥を否定してきた。機体の問題を認めるのは異例だ。無視できない大きな問題として捉えていることが分かる。

 一方で海兵隊が示した対策は根本原因を取り除くのではなく「対症療法」に過ぎない。

 不完全であっても改善を重ねながら運用を続けるという考え方があるとみられる。兵士らの安全に関わり、人道的な観点からも問題だが、何より県民の生活圏と運用が重なる沖縄県内での飛行には不適格だ。

 オスプレイは配備前から構造上の欠陥が問題視されていた。県民の大多数の反対を押し切って米軍の配備強行を許した日本政府にも、現在の危険な状況に対応する責任がある。

(明真南斗)

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