〝少数者〟の居場所に、ブックカフェ開設 茨城・つくば 山田さん、排除あらがう

ブックカフェを開設した山田亜紀子さん=つくば市天久保

性的少数者や障害者などマイノリティーの居場所づくりにつなげようと、茨城県つくば市在住の元編集者、山田亜紀子さん(49)がブックカフェ「本と喫茶 サッフォー」(同市天久保1丁目)を開業した。店内でイベントなども行い、「生きづらさを抱えた人たちが一息つける」居場所づくりを目指す。

店名はイギリスの作家、ヴァージニア・ウルフ(1882~1941年)が飼っていた猫の名前で、古代ギリシャの女性詩人の名前からとった。サッフォーはフェミニズム文学の書き手としても知られている。「言葉と人をつなぐ存在」という意味を込めて店鋪のロゴマークは猫にした。

山田さんは同市育ち。開業前は東京都内で書店従業員や編集者を計約10年務め、ジェンダーやフェミニズムの雑誌や書籍の企画・編集に携わってきた。

カフェ開業のきっかけは、出生時の性と性自認が異なるトランスジェンダーなどへの差別発言が交流サイト(SNS)で目立ち、マイノリティーの理解促進に対する「バックラッシュ(揺り戻し)」と呼ばれる動きが激しくなっていたこと。「LGBTQや障害者などへの差別的な発言が目立つようになり、マイノリティー排除の動きにあらがいたかった」と強調する。

出店場所に同市を選んだ理由については、「東京から離れるとなかなかブックカフェなどの形態では(マイノリティーの)居場所がない。都心部に出なくても集まれる場所をつくりたかった」と話した。

店内には、山田さんが選書したジェンダーやフェミニズム関連の小説、福祉や障害に関する本、自主出版による情報誌など約2千冊をそろえた。カフェスペースはカウンター席含めて24席。今後はイベントも企画したい考えだ。

性的マイノリティーの理解や認知向上の活動に取り組むNPO法人「RAINBOW茨城」(水戸市)は「安心して来られる常設の居場所は必要」とカフェ開設を歓迎した。

山田さんは「『分かち合える人がいない、居場所がない』と感じた人たちに立ち寄ってもらえる場所にしたい」と語った。

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