7月22日、エストニアのタルトゥを拠点に開催されているWRC世界ラリー選手権第8戦『ラリー・エストニア』は、競技3日目“デイ3”のSS9～17が行われた。前日のデイ2で首位に浮上したTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチームのカッレ・ロバンペラ／ヨンネ・ハルットゥネン組（トヨタGRヤリス・ラリー1）は、この日設定された計9つのステージすべてでベストタイムを記録し、ラリー最終日を前に独走体制を築いている。日本人ラリードライバーの勝田貴元（トヨタGRヤリス・ラリー1）は前日に引き続き総合7番手につけた。
夏の“ハイスピード・グラベル（未舗装路）ラリー連戦”の初戦として行われているラリー・エストニア。2021年に当時史上最年少でWRC総合優勝を果たし、翌年も優勝をさらった22歳のフライング・フィンが、大会3連覇に王手をかけた。
前日のデイ2午後にティエリー・ヌービル（ヒョンデi20 Nラリー1）を逆転し3秒差で総合首位に立ったロバンペラは、土曜日のオープニングステージとなったSS9と続くSS10で最速タイムをマーク。2ステージ連続で2番手タイムを記録したベルギー人ドライバーとの差をじわりじわりと拡げていく。出走順が後方になり、よりクリーンな路面を走ることが可能となった現王者は再走ステージのSS11、12でもステージベストの快走を続ける。
一方、ロバンペラに引き離されたくないヌービルだったが、午前中最後のSS12でタイヤのパンクチャーに見舞われ約10秒のタイムロス。この段階でトップとのタイム差は20.3秒に拡がった。
ミットデイサービスを挟んで迎えた午後のループでもロバンペラの勢いは止まらない。SS13とSS14とそれらの再走ステージに加え、一日の最後に設定されたスーパーSSでも“指定席”を譲らず、9連続ステージベストという圧巻の走りで競技3日目を席巻した。この結果、総合2番手を維持したヌービルとの差は34.9秒にまで拡大することとなった。
史上最年少シリーズチャンピオンは「いい感じだ」と一日を終えて微笑んだ。「とくに午後は本当に楽しかった。クルマは順調だし、ここはカレンダーの中でもお気に入りのステージなんだ。たくさんのファンがいて、本当にクールだよ」
9SS中5つのステージで2番手タイムを記録したヌービルは、23日（日）の最終日に予定されている残る4つのSSでの逆転は難しいだろうと認めた。
「カッレのペースに合わせるには少し足りないところがあったが、スローパンクチャーがなければ完璧な一日だったと思う」とヌービルは語った。
■ラッピとエバンスの3番手争いは白熱
前日に引き続き、元チームメイトのエルフィン・エバンス（トヨタGRヤリス・ラリー1）と総合3番手の座を争ったエサペッカ・ラッピ（ヒョンデi20 Nラリー1）は、2番手タイム3回、3番手3回、4番手も3回と一日を通して安定したスピードを発揮。一時は0.7秒差に迫ってきたライバルを一日の最後には7.3秒後方に追いやっている。
4番手エバンスの後方では、48秒8遅れてラリー1デビュー戦に臨んでいるテーム・スニネン（ヒョンデi20 Nラリー1）が総合5番手につけ、さらに44秒後ろにMスポーツのピエール-ルイ・ルーベ（フォード・プーマ・ラリー1）が位置している。
マニュファクチャラー登録ドライバーとして3台目のトヨタGRヤリス・ラリー1を駆る勝田貴元は、SS14のフィニッシュ後に再スタートが切れないアクシデントに見舞われたものの、同じくSS14でハイブリッドにトラブルが発生したルーベの7秒後方に迫った。競技開始前にエンジン交換による5分ペナルティを受けたオット・タナク（フォード・プーマ・ラリー1）は、前日の総合11番手から同8番手まで順位を回復させている。
総合9番手はWRCクラスリーダーのアンドレアス・ミケルセン（シュコダ・ファビアRSラリー2）だ。15.8秒差で同じくシュコダ・ファビアRSラリー2をドライブするサミ・パヤリが2021年王者を追いかけている。
ラリー最終日となるデイ4は、2本のステージをミッドデイサービスを挟むことなく各2回走行する予定。計4本のステージの合計距離は61.08km、リエゾン（移動区間）を含めた一日の総走行距離は278.73kmだ。
