HY全国ツアー「HY Kafuu TOUR 2023」ファイナルが地元・沖縄で終幕

全国6公演をまわったHYの「HY Kafuu TOUR 2023」は、7月22日に地元・沖縄の那覇文化芸術劇場なはーと 大劇場でツアーファイナルを迎えた。昨年9月にリリースされたアルバム『Kafuu』全曲と新旧の鉄板ライブチューンを織り交ぜたセットリストに観客は大盛り上がり。新里英之(Vo&Gt)、名嘉俊(Dr)、許田信介(Ba)、そして仲宗根泉(Key&Vo)のパフォーマンスは、もはや貫禄を感じさせるほどの説得力をまとっており、文字通りの大団円となった。

《ライブリポート》
青を貴重にした衣装に身を包んだメンバーが笑顔で入場してくると、会場いっぱいの拍手で迎えられた。

「幸せを沖縄の皆さんに届けるよ!!」と新里が宣言すると、高らかに鳴り響く指笛とともに『優しい世界』で、オープニングから会場に爽やかな“地元の風”が吹き抜けた。躍動感のあるリズムと底抜けに明るい雰囲気の伴奏にのる新里の清涼感ある歌声が、連日の酷暑を吹き飛ばすようで、HYが作り出すハッピーなライブ空間への絶好の入り口だ。

そのまま南国感溢れるイントロの『君のうた』へなだれ込む。曲中では拍手のリズムでのコール&レスポンスもあり、序盤から会場の一体感が増す。続く『光の先へ』では、気持ちよさそうに演奏するメンバーたちとともに、客席もビートに身を任せて身体を揺らす。冒頭3曲を立て続けに『Kafuu』から繰り出した後は、盛り上がり必至の『AM11:00』。イントロのキーボード数音で歓声が上がり、自然とボリュームの大きな手拍子が鳴り響いた。

新里英之

この日最初のMCで「Kafuu(カフー)」は沖縄で「幸せ」という意味だと新里が説明して「“HY幸せツアー”だよ。素敵だと思いませんか?」と問いかけると、拍手が沸き起こる。

新里が「あいさつで心からつながろう」と語りかけて繰り出したのは、故郷への思いが溢れに溢れている『HAISAI』。続けて、爽やかさと切なさとを併せ持つ『モノクロ』へ。大サビ前のパートで客席が合唱すると、「やっぱり、皆の声聞くと安心するね」と噛みしめるように新里がこぼす。

「大好きという思いから出来上がった曲を皆さんに」と新里が前置きし、恋と愛を穏やかに優しく歌い上げた『HEART』では、温かな音色のアンサンブルが会場を包み込む。オリエンタルなイントロから「生きてる世界が違うあなたに恋をした」と強い言葉が並ぶ歌い出しで、仲宗根の声が会場を貫く『スイッチ』。曲調の異なる2曲のコントラストで会場の空気の色を全く変えて、観客の心を良い意味で揺さぶる。

仲宗根泉

…と、しんみりしていたら『イーズーコーナー』が始まった。世界に1羽しかいない傷ついた鳥「イズチュン(=仲宗根)」を救うために、幸せな音を聞かせて、笑顔を届けるという趣向でちょっとした小芝居が展開される。劇中に「あなたの笑顔が誰かの力になることを忘れないでね」と仲宗根が話して奏でられた「きみが笑顔であるように」は、とてつもなくHYらしい“陽”の空気が満載のポップスで、リズムに身を任せる観客全員が笑顔になっているのが分かる。

短いドラムのフィルインを受けてギターのフレーズが鳴ると、盛り上がらざるをえない鉄板の『ホワイトビーチ』で後半戦に突入。両手を宙に掲げ、身体を横に揺らしながら全身でHYを感じる客席のボルテージが高騰した。大サビ前では観客の大合唱。最後は「風を集めて、飛び上がろう」との言葉通り会場全体でジャンプして楽曲を目一杯楽しんだ。

名嘉俊

勢いそのままに「no rain no rainbow」に続くと、ダイナミックな名嘉のビートで客席が跳ね上げられるような心地に。タイトル通り雨上がりに差し込む太陽の光のようなメロディは、ステージのメンバーと観客1人1人との間に心の虹が掛かる。続いて小気味良いドラムから“空繋がり”の「空色」に流れ込んだ。「私の心は空色 喜び悲しみも/あなたと今日もはんぶんこ さぁ出かけよう」。新里・仲宗根の歌声は呼びかけるように、明日へ向かう気持ちを無条件にエンパワーする。

ここで、小さな島から平和を願うという思いを込めた新曲『ワラッタラッタ』が披露され、客席の宙空で振り回されたタオルが舞う。HYの夏ソングとして仲間入りだ。そして本編最後を飾ったのは過去を振り返らず、未来に突き進む煌めきをそのまま音と言葉にしたような楽曲『キラリ』。観客1人1人が「僕はひとりじゃない」という新里のフレーズをしかと受け止めていた。

許田信介

アンコールまでの幕間、ステージ上ににわかにスクリーンが下りてくると、ライブでも披露した新曲『ワラッタラッタ』リリース、そして仲宗根泉企画の始動とともに『Road to 25th Anniversary Start』の文字が映し出された。25周年イヤーに向けて、様々な企画が動き出しているという突然のサプライズ発表に、会場は喜びの拍手に包まれた。

メンバーが登場して「25周年、一緒に祝いたいと思ってます」と新里が一言。アンコールはド直球のタイトルに違わぬグッドバイブスの『HAPPY』から始まり、幸福な予感で会場を満たした。続けて、ライブでしか聴けない特別な楽曲『フェイバリットソング』を披露すると、客席ではカチャーシーの手踊りが咲き乱れた。

「僕たちの思いは、あの時から変わりありません」と新里が語り、グランドフィナーレは『旅立ち』。仲宗根の力強い声の旋律と「今日も本当にいい日でした」「新しい旅に出ると決めました」というリフレインが、メンバーからの感謝の気持ちと『Kafuu』の先に突き進んでいく決意とをその場にいる全員の心に刻み込むように響き渡る。

会場全体を見渡しながら、新里が「今日は会場に幸せ(カフー)が溢れてました。これからもどんどん音楽を通して沖縄代表でがんばっていきます。素敵なきっかけを与えていきたいとおもいます!」と決意表明。メンバーの弾けるような満面の笑みと、たくさんの楽曲からオーディエンスが受け取った様々な感情の快い余韻の中で『HY Kafuu TOUR 2023』の幕が下りた。

<セットリスト>
「HY Kafuu TOUR 2023」2023.7.22 @沖縄・那覇文化芸術劇場なはーと 大劇場(沖縄県)

M-1 優しい世界
M-2 君のうた
M-3 光の先へ
M-4 AM11:00
M-5 HAISAI
M-6 モノクロ
M-7 Heart
M-8 スイッチ
M-9 きみが笑顔であるように
M-10 ホワイトビーチ
M-11 no rain no rainbow
M-12 空色
M-13 ワラッタラッタ
M-14 キラリ
EN-1 HAPPY
EN-2 フェイバリットソング
EN-3 旅立ち

撮影:G-KEN

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