スペイン原産/テンプラニーリョのテイスティングにおすすめのワインを紹介!おいしい最適温度&料理の組み合わせとは!?【一生に一冊はもっておきたいワインの教科書】

テンプラニーリョ/スペイン原産

一般的知名度こそまだ低いものの、スペインの偉大なるブドウ品種だ。語源は、「はやい」を意味するテンプラーノ。このブドウの成熟がはやいことから名づけられた。スペインのリオハとリベラ・デル・ドゥエロ地域はもちろん、ポルトガルとアルゼンチンでも人気が高い。

果皮が厚く、温暖な気候を好み、若飲みのフルーティーなものから、長期熟成のポテンシャルが高い濃密なものまで、多様なワインのスタイルを誇る。

【おいしい最適温度】 15°C-18°C

【保存期間】 5〜20年 ※原材料のブドウの質の違いによって、果実味や酸、タンニンの濃縮度が異なるため、クリアンサ(スペイン)のようなワインは5年、レセルバとグラン・レセルバ(スペイン)のようなワインは20年保存可能。

【料理との組みあわせかた】 シンプルで失敗のない組みあわせ ハモン・セラーノ(生ハム)

【ベーシックな組みあわせ】 赤身肉、マグレ・ド・カナール*、ラム、シャルキュトリー

*フォアグラをつくるために育てたカモの胸肉。

テンプラニーリョの特徴

アルコールやボディ、スパイシーな香り、やわらかなタンニンをもたらすグルナッシュとアサンブラージュされることが多い。また、長期熟成のポテンシャルが高い遅摘(おそづ)みのローカル品種グラシアーノとブレンドされることもある。テンプラニーリョからつくられたスペインワインには、よく次のような言葉が記載されている。

クリアンサ:最低2年熟成。熟成したアロマ。
レセルバ:最低3年熟成。熟成したアロマ。
グラン・レセルバ:最低5年熟成。熟成したアロマ。

テンプラニーリョの地理

テンプラニーリョの栽培面積は、世界で23万ヘクタール以上にのぼり、5番目に生産量の多い品種だ。ちなみにこの生産量は、ほぼスペインとポルトガルの全生産量に相当する。テンプラニーリョの名声を広めたのは、リベラ・デル・ドゥエロ地域の有名なワイナリー、ベガ・シシリアのウニコなどいくつかの最上ワイン。テンプラニーリョは、アルゼンチンでも栽培されている。

テンプラニーリョのたくさんある別名

テンプラニーリョには、栽培地域によっていくつものシノニム(別名)がある。スペインのバルデペーニャスではセンシベル、リベラ・デル・ドゥエロではティント・フィノ、トロではティンタ・デ・トロ、ペネデスとカタルーニャではウル・デ・リェブレ、ポルトガルのドウロとダンではティンタ・ロリス、アレンテージョではアラゴネスと呼ばれている。また、ポルトガルのポートにおいては、酒精強化ワインとして醸造されている。

テンプラニーリョのテイスティングにおすすめのワイン

スペイン

【ホーベン/リオハ】スペイン語で「若い」を意味し、ステンレスタンクで熟成される。とてもフルーティーで、フレッシュなレッドフルーツの香りがある。若いうちにたのしむのがおすすめ。

【クリアンサ、レセルバ/リオハ】テンプラニーリョはオーク樽と相性がよく、レッドフルーツとブラックフルーツのアロマに、樽香(たるこう)のバニラとミルクキャラメルの風味が加わる。

【リベラ・デル・ドゥエロ/リベラ・デル・ドゥエロ】一般的にリオハよりも力強く、ブラックフルーツとスパイスの香り。

ポルトガル

【アレンテージョ/アレンテージョ】アラゴネスの名でも知られ、レッドプラムのアロマを備えたフルーティーでみずみずしく、香りが豊かな若飲みワインがつくられている。

黒ブドウ品種のワイン

白ワイン同様、赤ワインもその多様さは、ブドウ品種、気候、土壌、醸造に由来する。赤ワインで特筆すべきは、ワインにストラクチャーを添えるタンニンの存在だ。赤ワインのなかでもとりわけタンニンが強いものは、熟成能力が高く、より長く保存できる。こうしたワインは、しっかりと熟成すると、風味が複雑になり、しなやかな質感があらわれる。

黒ブドウに含まれるポリフェノール

フランスやイタリア、スペイン、ポルトガルなど、南ヨーロッパの食卓でおなじみの赤ワイン。こうした国々と赤ワインのつながりは、長い歴史と文化に裏打ちされている。近年、黒ブドウ品種のブドウに含まれるポリフェノールの抗酸化作用に注目が集まり、心血管の疾病を予防するはたらきがあるといわれるようになった。ほどほどの量なら健康にいいとされるが、この「ほどほどの量」がポイントで、飲みすぎはよくない。

おもな赤ワインのプロフィール

赤ワインのスタイルは、色の濃さとアロマの表現力、そしてとりわけワインに骨格と力強さをもたらすタンニンとアルコールにより決まる。

アサンブラージュ

グルナッシュ55%、シラー30%、ムールヴェードル15%……、ラベルにはこうしたアサンブラージュの比率がよく見られる。品種のブレンドは、とくに温暖な地域では頻繁に行われる。生産者はワインづくりに向けて、さまざまな品種の特異性を理解し、すべての品種を調和させている。

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気になる中身を少しだけご紹介!ワインのスタイルによってブドウの収穫タイミングが変わる!手摘みと機械の収穫ではどう違うのか?

収穫に適した最良のタイミングって?夜間収穫もある?

ブドウが熟したら、収穫のはじまりだ。収穫は手摘み、または機械で行う。開花してから100日ほどで収穫に入るが、ブドウの成熟度と目標とするワインのスタイルによって、収穫のタイミングを決める。収穫日の決定は難しく、責任重大だ。はやすぎると、実が酸っぱく、糖分の含有量も低い。遅すぎれば、過度に成熟して酸味が足りず、糖度がごく高くなるほか、灰色カビ病に感染するリスクもある。栽培者は時間をかけて天気予報をチェックし、ベストなタイミングを見きわめる。

手作業で収穫するのは負担が重く、時間もかかるが、格の高いアペラシオンや、アクセスしにくいブドウ畑や丘陵、特殊な醸造法を必要とするブドウでは手摘みがふつうだ。たとえば、極甘口ワインに用いる貴腐菌ボトリティス・シネレアのついたブドウは、手摘みと決まっている。シャンパーニュなど一部のアペラシオンの規定でも、収穫は手摘みとされている。手摘みには、摘む人と運ぶ人のチームワークが重要だ。摘む人は剪定ばさみで注意深く房を切り、ケースなどに入れる。運ぶ人は背負いカゴにブドウを入れて列の端まで運び、ケースなどに入れる。ケースならそのままトレーラーに乗せて、醸造所まで運んでいける。

新鮮さを保つため、月と星の明かりのもとライトをつけながら収穫することを夜間収穫という。冷気がブドウの酸化を防ぎ、実に含まれるフレッシュさやフローラルなアロマをあますところなく守ってくれるのだ。

機械収穫は手摘み収穫となにが違う?

収穫機はブドウ収穫のために設計された機械で、1回で収穫のすべての作業を行う。ブドウ樹の列をまたいで進み、振動作用を利用して作業する。機械から支柱とブドウ樹に振動を伝えることで、実がふり落とされるというわけだ。ただし、すべての品種が機械収穫に向いているわけではない。

収穫機が登場したのは1970年代。効率的に収穫できるのが強みで、実が樹になったまま腐るなどという事態を防げる。また夜間にもつかえるので、ブドウの鮮度を保ちやすい。経済面でも機械は文句なしに優秀。機械収穫されたブドウはクオリティが劣ると、まことしやかにいわれているが、新世代の機械なら、しっかり調整して準備をしておけば、抜群のはたらきをしてくれる。

世界中のワインをもっと深堀り!プロヴァンス地方のワインの魅力とは?

ロゼワインといえば、明るいピンク色が特徴だが、プロヴァンス地方のロゼワインは、洗練されたニュアンスの繊細な色あいだ。微妙な色調をあらわすのにつかわれるのは、スグリ、モモ、グレープフルーツ、メロン、マンゴー、マンダリンオレンジなどフルーツの名前だ。

南仏バンドールのワインは気候を活かして作られた!ロゼワインのピンク色はどこからくる?

バンドールのブドウ畑は、サント・ボーム山塊から地中海沿岸にかけ、自然がつくり出した石の積まれた段丘のレスタンクに広がっている。生産者たちは何世紀もかけて、丘陵を開墾してブドウ樹を植えた。海に面した南向きの畑は、年間を通してたっぷりと陽光を浴びる。バンドールの赤ワインは、おもにムールヴェードルからつくられている。ゆっくりと熟すムールヴェードルは、このアペラシオンの中心品種で、アサンブラージュの50%以上を占め、グルナッシュとサンソーをあわせてつかう。前者はボリューム感を、後者は繊細さをもたらす。ワインは長期熟成型で力強く、しっかりとした骨格で、ドライハーブやスパイスのアロマを備えている。

ロゼワインの醸造では、黒ブドウの果皮を漬け込むため、色素が果汁に溶けてピンク色になる。つまり、色はタンク内での果皮と浸漬時間、温度、ほぼ無色の果汁と果皮の接触度に左右される。現在のトレンドは淡いピンク色。ロゼワインの色とクオリティに相関関係はないが、ビジュアルは重要で、選択基準の1つにもなる。淡い色のロゼワインは、より酸が生き生きとしてアロマが豊かだ。濃い色のロゼワインには、上質なメイン料理とあう高品質のものもある。

★ワインを観察してみよう ★各種ワインの醸造法とは? ★料理との組み合わせを知ろう ★フランスだけじゃない!世界のワインとは?
などなど気になるタイトルが目白押し!

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【書誌情報】
『エコール・デ・ヴァン・エ・スピリテューの一生に一冊はもっておきたいワインの教科書』
エコール・デ・ヴァン・エ・スピリテュー 著/奥山久美子 監修

エコール・デ・ヴァン・スピリテューはワインの本場、フランス・パリに本拠を置く人気のワイン専門学校。体系的メソッドにもとづくグランド・テイスティングコースから生まれた本書では、パリの授業をまるごと基本からあらゆるワインの紹介までまとめています。さあ、さっそくテイスティングをはじめましょう。実践重視の学校らしい、テイスティングの視点からぜひ試してほしいワインが満載。フランスは圧巻の充実ぶり、ニューワールドもていねいに紹介します。 すぐれたワインはなにが違う?どうやってアロマは生まれる?どうすればアロマを見きわめたり表現したりできる?ワインの特徴や、クオリティが生まれる仕組みも図解だからとってもわかりやすく、簡潔。各章末には、それまで学んだことをベースにトライできるテイスティングレッスンを用意しています。テイスティングのためのワインもしっかり紹介。学んだことが、ワインにどんな違いを生むのかあなたの舌でたのしく復習しましょう。すきま時間にぴったりのテストもあります。この本が、シンプルな「好き」「嫌い」をこえてあなたのテイスティングのアプローチを新たな次元へと導いてくれるはず。

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