水戸出身の三森さん バレエ凱旋公演へ スウェーデン王立バレエ団で最高位

公演に向けて、草刈民代さん(右)と稽古を行う三森健太朗さん(草刈さん提供)=13日、都内

■29日・富山、31日・東京で

スウェーデン王立バレエ団でプリンシパルとして活躍する三森健太朗さん(25)=水戸市出身=が、世界的振付家の名を冠したバレエ公演(29日・富山、31日・東京)に出演する。入団後わずか5年で最高位に昇格し、高い舞踊技術と身長180センチの端正なスタイルから、次代の日本バレエを担う逸材として注目を集める。間近に迫る凱旋(がいせん)公演に「支えてくれた人たちへ感謝を込め、本場で身に付けた技と表現力を披露したい」と意気込む。

三森さんは、5人きょうだいの4番目。姉や兄の背中を追うように、4歳から同市内の教室でクラシックバレエを習い始めた。中1だった2010年にプロのバレエダンサーを志し、国内のコンクールで好成績を収めた。14年には「海外で技と表現力を磨きたい」と単身ドイツへ。シュツットガルトにあるバレエ学校に入学し、ヨーロッパバレエの基礎を学んだ。

250年の歴史を持つスウェーデン王立バレエ団へ入団したのは17年。当初は大人数で情景を担当する「コール・ド・バレエ」に所属していたが、パリ・オペラ座の大スターだった同団監督のニコラ・ル・リッシュ氏に才能を見いだされ、21年に準主役級のファーストソリストに選出。翌22年には日本人男性初のプリンシパルに昇格した。

その道のりは平たんではなかった。バレエ学校時代には腰を痛めて手術を受けることになり、1年間休学。若手の登竜門とされる「ローザンヌ国際バレエコンクール」(スイス)は出場断念を余儀なくされた。

加えて、20年初頭に始まった新型コロナウイルス禍で、ヨーロッパを中心に著名な公演は中止となり、三森さんらは表現の場を失った。21年夏に東京で予定されていた国際的なバレエ公演も開催が見送られた。

プリンシパル就任後初となる今回の公演は、世界的振付家のローラン・プティ氏が来年生誕100年になるのを記念し、29日に富山市、31日に東京・新宿で開催。公演監督は元バレリーナで女優の草刈民代さん(58)が務める。

草刈さんは、本番に向けて稽古を行った三森さんについて「跳躍や回転など優れた技を持つ男性ダンサーは数多くいるが、品格を備えた容姿の美しさは抜きんでている」と高く評価。今後についても「次代の日本バレエを背負う一人になっていくはず」と語った。

公演は2部構成。三森さんは、第1部の演目「ドン・キホーテ」でノルウェー国立バレエ・プリンシパルの佐々晴香さんと競演し、第2部の「枯葉」にもソロで出演する。

「正確できれいなポジションで回れるよう日々レッスンに励んでいる」と三森さん。「『ドン・キホーテ』では明るい曲に合わせて難しいテクニックを披露したい。『枯葉』はドラマチックな作品。孤独感のような静寂さや激しい内面の葛藤を表現したい」と意欲を示す。

★スウェーデン王立バレエ団

スウェーデンのストックホルムを拠点とするバレエ団。ヨーロッパ最古のバレエ団の一つとして知られ、1773年に国王グスタフ3世が設立したバレエ団を起源とする。アメリカ、ドイツ、ロシア、日本など各国出身のダンサーが在籍。芸術監督は2018年からパリ・オペラ座のエトワールだったニコラ・ル・リッシュ氏が務めている。

© 株式会社茨城新聞社