「上位に行けそうな雰囲気」から 松山英樹は勝負のシーズン終盤へ

松山英樹は久々の手応えを得て4日間を終えた(撮影/村上航)

◇メジャー最終戦◇全英オープン 最終日(23日)◇ロイヤルリバプール(イングランド)◇7383yd(パー71)

降りやまない雨がプレーヤーに集中力を問う。松山英樹は出だし1番、フェアウェイから思った距離を出せず、グリーン手前のバンカーに入った2打目に「計算して打ったんですけど、ちょっとびっくりした」という。ポットバンカーからの3打目が“出すだけ”になった4番でダブルボギーが先行。さらに7番でボギーという展開でも下を向かなかった。

5mのチャンスを生かした9番(パー3)のバーディが反撃の合図。レインウェア姿のまま、海沿いの11番から2連続バーディを決めてスタート時のスコアに戻した。

ダブルボギー先行からナイスカムバック(撮影/村上航)

16番の4つ目で「70」は2日連続のアンダーパー。「久々にああいう(ダブルボギー)スタートをしても、(集中が)切れることなく良かった」。厳しいコンディションでこそ力を発揮してきたから、今の地位がある。17位スタートで、前回ロイヤルリバプールで行われた9年前の39位を上回る通算3アンダー13位の成績を残した。

2023年のメジャー4大会が終了。初戦「マスターズ」は16位、5月の「全米プロ」で29位、直近の「全米オープン」は32位だった。「トップ10も入れず、優勝争いにも絡んでいない」。ひとケタ順位がなかったのは2020年以来3年ぶり。悔しさを募らせるが、今季の上記3大会はすべて最終日にその週のワーストスコアをたたき、順位を落として終えていた。

雨に打たれながら一打に集中し続けた(撮影/村上航)

9回目の出場だった本大会においても、13位は初出場だった2013年(ミュアフィールド)の6位に次ぐ好成績になった。「全英でずっとうまくプレーできていなかった。久々に上位に行けそうな雰囲気があるゴルフができて良かった」という内容も幾分、気持ちを軽くする。

タフな闘いはここからが本番だ。今季のPGAツアーは残すところ5週。大西洋を渡り次週「3Mオープン」(ミネソタ州TPCツインシティーズ)に出場する。翌週の「ウィンダム選手権」(ノースカロライナ州セッジフィールドCC)についても「今は出る予定。(今週)トップ10に入ったらスキップしようと思っていたんですけど」と口にした。

目指すはフェデックスカップポイントランキング上位30人による、10年連続の最終戦「ツアー選手権」(8月24日開幕・ジョージア州イーストレイクGC)進出。長らく首や背中の故障に苦しみ、今週もラウンド中に自らマッサージを施すシーンがあった。ショット、パットを突き詰めながら、「来週からまだ続くので、痛みなくできれば」とコンディション調整にも全力を注ぐ。

メジャータイトル争いからプレーオフに向けた連戦に身を投じる(撮影/村上航)

今週最後のバーディになった終盤16番、左ラフから残り208ydの第2打。水しぶきを上げた2Iのショットはピン手前3mについて大歓声を呼んだ。圧巻のプレーを披露しても「うーん、ああいうのは(先に)つながらないですよね。その場の“ノリと勢い”でやっただけなので」と分析は冷静。雨にも風にも負けやしない、確かなものをまた求めていく。(イングランド・ホイレイク/桂川洋一)

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