世界的に有名な音楽ジャンルの発祥地「カーボベルデ」ってどんな国?

「カーボベルデ」という国をご存じでしょうか? あまり馴染みのない国だと、地球上のどこにあるのかわからないこともありますよね。かつて無人島だったこの国は、17世紀までアフリカの奴隷貿易の要所として栄えました。今回は、そんなカーボベルデの基本情報をはじめ、観光スポット、世界遺産、人気のスポーツをご紹介します。

カーボベルデの基本情報

アフリカ大陸西岸沖のベルデ岬諸島を占めるカーボベルデ共和国は、大西洋上の15の島からなる国です。1975年にポルトガルから独立しました。面積は4,033平方キロメートルで、滋賀県と同じくらいの大きさ。

サント・アンタン島の村とライステラス

気温は1年を通じて22~30℃と高温でありながらも、過ごしやすいのが特徴です。しかし、年間を通じて下降気流があるため夏季を除いて降水量が少なく、干ばつの被害が出ることも。

人口は56.2万人(2021年)でポルトガル人とアフリカ人の混血が約70%を占めます。ポルトガル語が公用語ですが、クレオール語も使われています。宗教はキリスト教(カトリック)です。

カーボベルデの国旗の、10個の黄色い星は国土を構成する主な「10の島」を、星がつくる円は「国の統一」を象徴。また、青色は「空と広大な大西洋」を、赤色は「独立のために流された尊い血と犠牲」を表しています。

国名は、セネガルのベルデ岬の沖にあることから「ベルデ岬諸島」と呼ばれていたことに由来します。ベルデ岬は、ポルトガル語のカーボ「岬」とベルデ「緑」で、「緑の岬」という意味です。

カーボベルデに行くには?

日本からカーボベルデへは直行便が就航していません。首都プライアのネルソン・マンデラ国際空港までは、最低でも2回の乗り継ぎが必要になり、カタールのドーハ、モロッコのカサブランカ、ポルトガルのリスボンを経由するルートが一般的です。

カーボベルデに入国するためには、ビザの取得が必要ですが、カーボベルデ入国の際にアライバルビザを取得できます。さらに事前にEビザ(電子ビザ)の取得もできますので、詳しい取得方法はこちらをご確認ください。

また、2023年7月現在、パスポート残存有効期限はビザ申請時(セネガルにあるカーボベルデ大使館で申請する場合)に6カ月以上必要です。

カーボベルデの最新の渡航情報について詳しくは下記をご覧ください。

在カーボベルデ日本国大使館

海外安全ホームページ

山も海も満喫できる自然豊かな「フォゴ島」

首都プライアがあるサンティアゴ島の西に位置する「フォゴ島」は、ポルトガル語で「火の島」を意味します。その名の通り、島にあるフォゴ山(標高2,829m)は中央にカルデラを持つ活火山で知られています。

この島で一番の見どころは「フォゴ国立公園」。カルデラ内へ入り、フォゴ山の麓を散策することができます。噴火による溶岩流跡を見学することも可能です。ただし、フォゴ山の頂上にのぼるためには、ある程度の登山経験に加え、地元のガイドを雇う必要があります。

フォゴ山へ続く道

より負担の少ない登山をしたい場合は、1995年の最後の噴火の際に形成された小さなピコ山「ピコペケーノ」がベスト。カルデラの周辺にある小さな村ポルテラの食料品店では、フォゴ産のワインを味わうことができますよ。

いずれも現地ツアーが用意されているため、体力や気分、予算に合わせて選びたいですね。

フォゴ島の海岸線

また、海辺でゆっくり過ごしたいのなら、サン・ジョルジェ村近くのポンタ・ダ・サリーナへ。ここには、大西洋の波から守られている盆地があり、リラックスして泳ぐことができます。

フォゴ島

塩浴ができる、南国リゾート感満載な「サル島」

飛行機で「サル島」に近づくと、ターコイズブルーの海の真ん中にある金色の砂の上に着陸するような気分になります。長年にわたり、この島は塩採掘の中心地でした。そのため、ポルトガル語でサル「塩」という名前の由来にもなっています。

島の中心街エスパルゴスから東に数キロに位置する「ペドラ・ルメ」はユニークなスポット。低い火山の火口にある塩海 (塩水)で知られているのです。現在、塩の採掘は限られた範囲でのみ行われていますが、入場料を払うと一部で塩浴ができます。シャワーも完備されているため、安心ですね。

また、活気あふれるサンタマリアの街は、美しいビーチが何kmにもわたり続いているのが一番の魅力です。

ダイビング、サーフィン、水上スキー、乗馬といったスポーツを思う存分、楽しめますよ。

南国情緒あふれるカラフルな家々と石畳の道も必見です。

サル島

グラミー賞を受賞した歌手も輩出「サン・ヴィセンテ島」

雄大なモンテ・ベルデ山 (標高750m) がそびえ立つ「サン・ヴィセンテ島」のミンデロは、文化のるつぼともいえる街です。かつての港湾経済の発展により、娯楽を求めて世界中から多くの船員がこの街を訪れたため、「モルナ」や「コラデイラ」といった世界的に有名な音楽ジャンルの発祥地になったのです。

5月から夏にかけては、大規模な野外音楽フェスティバルがビーチで開催され、欧米からも多くの人々が集まります。

この島出身のセザリア・エヴォラは、「裸足の歌姫」という異名を持ち、過去にグラミー賞を受賞しました。

現在も、有名なアーティストがミンデロのクラブや小さなレストランで演奏していますので、運が良ければ伝統的な音楽を生で聞けるかもしれませんね。

そのほか、メルカド・デ・ペイシェ (魚市場)、ベレンの塔(リスボンにある塔のレプリカ)、ポルトガルの探検家ディオゴ・アフォンソのブロンズ像といった見どころが盛りだくさんです。

サン・ヴィセンテ島

カーボベルデ唯一の世界遺産「リベイラ・グランデの歴史地区シダーデ・ヴェーリャ」

2009年に登録された、カーボベルデ唯一の世界文化遺産「リベイラ・グランデの歴史地区シダーデ・ヴェーリャ」は、首都プライアがあるサンティアゴ島の南側に位置します。

この町は、14~17世紀にかけて中西部アフリカにおける奴隷貿易の要所として栄えました。当初の街路設計が残り、町の中には500年以上の歴史を持つ教会や、海賊からの襲撃に備えた城塞跡、16世紀の華麗な大理石支柱のあるピロリー広場などがあります。

シダーデ・ヴェーリャ

カーボベルデで人気のスポーツは?

カーボベルデで人気のスポーツは、かつてポルトガルの一部だったこともあり、サッカーです。しかし、昨今はバスケットボールも注目を集めています。

2023年2月、最新FIBAランキングでは64位ですが、ワールドカップ出場国の中で最も人口の少ない国として、今夏に歴史的なデビューを果たします!

8月25日 (金) ~9月10日 (日) に行われる「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」では、「カーボベルデ×ジョージア」8月26日(土)、「カーボベルデ×ベネズエラ」8月28日(月)の試合が予定されています。ぜひチェックしてみてくださいね。

[参考]

capeverde.com

在セネガル日本国大使館

FIBA

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