高梁市新消防庁舎 防災機能を強化 秋から移転工事 24年度運用開始

 高梁市が進める新消防庁舎の移転新築工事が今秋、始まる。現行から執務や訓練のスペースを拡充するとともに、災害時の浸水対策として通信指令室や発電設備を上階に置くなど防災拠点機能を強化。訓練棟は市民の啓発事業にも活用する。運用開始は2024年度中の予定。

 市消防総務課によると、1971年築の現庁舎(同市横町)が老朽化したことから、約1.4キロ北の同市川端町、内山下の敷地(4284平方メートル)に建て替える。新庁舎は鉄筋コンクリート一部鉄骨3階の庁舎棟と、鉄筋コンクリート5階の訓練棟からなり、延べ床面積(3332平方メートル)は現庁舎(地上2階地下1階、延べ1632平方メートル)に比べて約2倍に広がる。

 庁舎棟の1階には救急車など緊急車両12台が駐車でき、新たに防火服の着装や打ち合わせを行う出動準備室も設ける。仮眠室や浴場を配置する2階には女性専用のスペースをつくり、現在1階にある通信指令室、地下の発電設備はともに3階に移す。

 訓練棟の1階には火災を想定した煙体験室を設置。避難コースを何通りにも変えることができ、消防隊員が訓練を重ねるほか、啓発イベント時には市民に利用してもらう。

 高梁川に面した建設予定地は2018年の西日本豪雨で浸水しており、地盤をかさ上げした上で防水板を導入して備える。一方で、敷地の大部分で透水性の高いアスファルトを採用し、雨水が周辺地域に流出するのを抑制するとしている。

 建設費は30億9200万円を見込み、資材や人件費の高騰によって昨年6月試算時(約22億円)より膨らんだ。敷地の一部は買収できず、所有者との間で借地契約を結んでいる。

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