中村哲医師の映画を世界へ 英語版製作へ資金募る

映画「荒野に希望の灯をともす」の一場面。アフガン人と笑顔の中村哲さん(左端)(日本電波ニュース社提供)

 アフガニスタンで2019年、活動中に殺害された福岡市の非政府組織(NGO)「ペシャワール会」現地代表、中村哲医師=当時(73)=を追ったドキュメンタリー映画の英語版をつくろうと、製作元がクラウドファンディングで資金を募っている。昨年7月から全国各地で公開後「海外でも上映してほしい」との要望が多く寄せられていた。

 映画「荒野に希望の灯をともす」は、中村さんが1984年にパキスタン北西部の病院へ赴任してから、アフガンでの用水路建設を通して砂漠が緑あふれる大地に生まれ変わるまでの35年を追った作品。日本電波ニュース社(東京)が製作した。

 日本語版では中村さんの思想や背景知識を主にナレーションで紹介したが、海外のドキュメンタリー映画は映像を軸とした構成が一般的。そのため英語版では中村さんのインタビュー映像を増やすなどして再編集し、中村さんを全く知らない海外の人も理解しやすくする。英語の台本や字幕製作などにも多額の費用がかかるため、今年6月にクラウドファンディングを開始した。

 完成した作品は国際映画祭へ出品し、各国での劇場公開を目指す。監督を務める同社の谷津賢二さん(62)は「ロシアのウクライナ侵攻で世界が分断されつつある今こそ、民族や文化、宗教も違う人たちと共に働いた中村さんの考え方を学ぶ意味がある。無事完成させ、世界中の人に見てもらいたい」と話している。

 クラウドファンディングは9月14日までで、目標金額は500万円。問い合わせは日本電波ニュース社、電話03(5765)6810。(共同)

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