コアジサシ、3年ぶり巣立ち 千葉の浜、南半球から渡り

今年生まれたコアジサシの若鳥(右)と成鳥。若鳥は食欲旺盛で、大きな魚をのみ込もうとしている=11日、千葉市美浜区の「検見川の浜」

 東京湾に面した千葉市美浜区の「検見川の浜」で今年、南半球から渡ってくる絶滅危惧種コアジサシが繁殖し、3年ぶりに幼鳥が巣立ったことが千葉市や市民団体などによる24日までの調査で分かった。ただし台風や人に卵を踏みつぶされる被害などがあり、巣立ちは約10羽にとどまった。野良ネコの捕食も脅威になっている。

 開発や埋め立てが進む東京湾の中で、この浜は貴重な繁殖適地として残る。保護に取り組むNPO法人リトルターン・プロジェクトの松村雅行さんは「長距離を渡って東京湾で子育てをするコアジサシへの理解を深め、野良ネコ対策なども進めてほしい」と訴える。

 コアジサシを市の鳥としている千葉市は繁殖地をロープで囲んで「保護区」とし、立ち入りを禁止している。だが7月3日に松村さんが調査した際、保護区の外から人が立ち入った足跡が続き、ふ化直前の卵3個が踏みつぶされているのを発見、写真に収めた。

 松村さんによると、今年、検見川の浜で123の巣が確認された。幼鳥にまで育ち巣立ったのは12羽だけとみられる。

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