都内で暮らす20代夫婦の平均年収や貯蓄額、生活費はいくら?【2023年版】

東京都の平均初婚年齢は、夫が32.1歳、妻が30.4歳(厚生労働省「人口動態調査」2021年)。20代の夫婦は、決して多数派とは言えません。そのため、自分たちの家計が平均的なのかどうか、感じにくいのではないでしょうか。

今回は、都内で暮らす20代夫婦の平均年収や貯蓄額、生活費を見ていきます。平均的にはどのような暮らしぶりなのでしょうか。


東京都20代夫婦、フルタイムで働いた場合の平均年収の合計は629万~720万円

いわゆるサラリーマンの夫と専業主婦の世帯は減少傾向にあります。1991年には共働き世帯よりも少なくなり、2022年には夫婦のいる世帯全体の21.9%。今や夫婦の働き方は共働きが多数派です(内閣府男女共同参画局「女性活躍・男女共同参画の現状と課題」より)。

20代夫婦はどちらも働いているなら、夫婦の収入はそれぞれの収入の合計額。では、20代男女の平均賃金をそれぞれ見てみましょう。

厚生労働省「2022年賃金構造基本統計調査」によれば、所得税や社会保険料などを差引く前の額面賃金は、女性の20代前半の20~24歳では21万6300円、後半の25~29歳では、24万800円です。賃金は勤務先の規模によっても異なり、中小企業よりも大企業のほうが高収入になりやすいようです。

男性の平均賃金からも、同様の傾向が見て取れます。そして、女性よりも男性のほうが高収入です。男性の20~24歳では22万500円、後半の25~29歳では、25万9300円です。

ただし、東京の平均賃金は、男女とも全国都道府県のなかで最も高い水準です(厚生労働省「2022年賃金構造基本統計調査」)。全国平均を上回るのは、東京、神奈川、大阪、愛知の4都府県だけですが、東京は全国平均の1.2倍です。

全国の1.2倍という比率を加味すると、東京の20代前半の女性の平均年収は約311万円、20代後半は約347万円。男性は20代前半が約317万円、後半は373万円です。
合計した金額が夫婦の収入だとすると、都内で暮らす20代夫婦の平均世帯年収は、20代前半は約629万円、後半は720万円と計算できます。

ただしこの金額は、夫婦それぞれがフルタイムでしっかり働いた場合の試算です。

20代夫婦の世帯年収は約630万円 その他の収入が多いのも特徴

子どもの有無、介護が必要な家族の有無、実家が近いなど、世帯のメンバー構成や抱える事情は家庭ごとそれぞれ異なります。それによって仕事と家庭のバランスはさまざま。
夫婦でしっかり稼いで世帯年収1000万円が目前、という家庭もあれば、夫が正社員で家計収入のほとんどを稼ぎ、妻の収入は補完的、というスタイルは決して珍しいものではありません。

それはデータにも表れます。

都内で暮らす、世帯主が30歳未満の家庭の収入のうち、1カ月あたりの勤め先からの収入は、世帯主が約38万2000円、配偶者は約4万8000円です(総務省「2019年全国家計構造調査」)。

都内夫婦世帯の平均データからは、世帯主の年収は約458万4000円と、同世代男性の平均年収よりも高額であることがわかります。そして、配偶者は年収にして約57万6000円。いわゆる年収の壁を超えない範囲です。その他の収入は年間で114万円。世帯年収は、約630万円になります。

注目したいのが、その他の収入が決して少なくないことです。その他には、夫婦の勤務先からの収入以外があてはまります。たとえば、同居の親の収入や、保有している不動産からの家賃収入、社会保障給付など。

同居の親族で働けるメンバーがいるなら、収入につながる行動を積極的にとってもらうことは、家計にも助かります。また、家賃収入は勤務先の副業制限に該当しないことが多く、会社員のサブインカムにはうってつけです。社会保障給付は申請しないともらえないので、幅広く情報収集しておくことが大切です。

20代夫婦にとっては、自身の勤務先からの収入アップだけではなく、サブの収入も増やす工夫を意識して欲しいと思います。収入源が複数あれば、何かひとつにアクシデントがあっても家計全体への影響を小さくすることができるからです。

20代で貯蓄ゼロは35.7%、貯蓄ありの平均額は約339万円

では、20代の平均貯蓄額はいくらでしょうか。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)」によれば、貯蓄がある世帯の平均貯蓄額は、約339万円です。

ただし、これは貯金がある世帯の平均額です。

貯蓄なしの世帯は35.7%、100万円未満の19.9%とあわせると、55.6%もの世帯が貯蓄ゼロ~100万円未満という結果です。平均貯蓄額は、貯蓄がない世帯を含めると214万円と少額になります。さらに貯蓄ゼロの世帯から数えて、ちょうど真ん中の世帯の貯蓄額(=中央値)は44万円という結果です。

20代夫婦は社会人として働き始めたばかり。貯蓄はまだまだこれから、という時期ではありますが、貯蓄額が少ないのは将来への不安にもつながりかねません。緊急予備資金として半年分の生活費程度の貯蓄ができるまでは、頑張って二人で働くという選択肢の検討も必要ではないでしょうか。

生活費は1カ月平均27万5000円

貯蓄をするには、収入アップとともに節約も大切。浪費が多ければいくら収入があっても足りません。総務省の「2019年全国家計構造調査家計収支に関する結果」によれば、都内で暮らす20代夫婦の平均生活費は月27万5000円です。

世帯収入の52万5000円から差し引くと25万円の黒字です。税金や社会保険料などにより可処分所得は減りますが、将来のライフイベントのために、月10万円程度は貯蓄に回したいところです。貯蓄は、生活費とは別の口座を利用します。生活費とは別管理にすることで、計画的に貯蓄しやすくなるメリットがありますので、ここは面倒がらずにしておきましょう。

そして、インフレ・増税時代を考えると投資の力が欠かせません。つみたてNISA(積立ニーサ、少額投資非課税制度)がおススメです。つみたてNISAで購入できるのは、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託とETF(上場株式投資信託)に限定されているので、投資初心者にとって、比較的安心して投資ができます。

2024年からNISAは新制度になるのでなおさらおススメです。投資による利益が非課税なのはそのままで、非課税の期間が今は最長20年ですが新NISAでは無期限になります。

また、今はつみたてNISAと一般NISAのどちらか一方しか活用できないのですが、新NISAではつみたてNISA同様の「つみたて投資枠」と一般NISA同様の「成長投資枠」を併用できるようになります。預貯金の次のステップでは、新NISAをはじめてみてはいかがでしょうか。

貯蓄・投資をする際には、目的と名義決めも同時にします。「旅行資金」「マイホーム資金」などが考えられますが、まずは「とりあえず100万円」でもよいでしょう。ただし、その貯蓄・投資はどちらの名義であっても「夫婦のお金」である、というコンセンサスが大切です。投資については、運用方法の決定権も夫婦間で決めておきます。

夫婦のあり方は、家計の管理にも影響しますが、逆もまた真なりです。「夫婦のお金」と「自分のお金」は、どちらも大切にしたいもの。お互いのためにどのようにバランスをとっていくか、双方が納得できる家計を作り上げて欲しいと思います。

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