危機感抱く荷主が業種を超え トラック長距離日帰り運行の実現へ 幹線中継輸送の実証

物流業界の2024年問題に強い危機感を抱き解決へ向け、業種の垣根を超えた7社が合同で10~14日、実証実験を実施した。関東・関西間荷物において、浜松市と埼玉県坂戸市を中継地点とし、荷台(コンテナ)部分が脱着できるスワップボディコンテナを用いた幹線中継輸送サービス「SLOC」(シャトル・ライン・オブ・コミュニケーション)だ。コンテナを分離し、指定されたコンテナに載せ替えて目的地に輸送する取り組みで、長距離運行の日帰り運行や荷役分離により若手・女性・高齢者などドライバーの活躍が期待される。

 実証実験は、ドライバーが行う輸送作業と荷物の積み降ろしなどの荷役作業を切り分け、荷主が荷役作業を行う「荷役分離」や、異業種による複数の荷物を同じコンテナに積載する「混載輸送」も行った。
 取り組むのは、荷主企業のアスクル(吉岡晃社長)・エレコム(柴田幸生社長)・タカラスタンダード(渡辺岳社長夫)・三井倉庫ロジスティクス(鳥井宏社長)の4社、さらに混載作業の安田運輸(本社=横浜市、井上薫社長)と中継地点(マルチテナント物流施設「DPL坂戸Ⅱ」)を提供する大和ハウス工業(芳井敬一社長)、コーディネータ―で運行スケジュール立案など実証取りまとめるデンソー(林新之助社長)の7社。
 実証では、ドライバーの労働環境改善と輸送効率向上を目指し、スケジュール通りに運行できるか、ドライバーによるコンテナの脱着オペレーションがスムーズに行われるかなど、社会実装に向けた課題の抽出を行う。 ?
 検証項目は、①1日6便(関西発3便/日、関東発3便/日)を運行、事前に合意したスケジュール通りに運行できるかの検証②中継地点に複数台のコンテナが置かれた場合も、ドライバーが間違えずに脱着できるオペレーションの確認と課題の検証③スマートフォンとQRコードを活用したコンテナ管理システムの利便性確認④複数荷主の貨物を混載輸送した場合の役割分担や責任区分の確認と課題の検証など。
 物流業界では、ドライバーの長時間労働が深刻化しており、要因のひとつは荷物の積み降ろしに待機する「荷待ち」時間といわれている。さらに長距離ドライバーの場合、長時間の運転に加え宿泊が伴うため、長い拘束時間が問題となっている。
 また、ドライバーは運転だけでなく、荷役作業を担うため、身体への負担が大きいことも問題となっている。こういった拘束時間の長さや身体的負担の大きさは、ドライバー不足にもつながっているのが実情だ。
 なお、運送協力企業はアートバンライン、遠州トラック、高伸物流、トランコム、フジトランスポート、優輪商事。

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