【日本三大船祭り】真鶴町の貴船まつり 人手不足で継承危機も移住者らが名乗り 今年は活気にあふれ

完成に近づいている小早船で作業する町民=24日、真鶴港

 日本三大船祭りとして知られ、国指定重要無形民俗文化財にも指定されている真鶴町の「貴船まつり」を28、29日に控え、町内では最終準備に追われている。今回は4年ぶりに船が港に浮かべられるなど見どころも多いが、開催に当たっては人手不足が年々深刻化しているという。そんな中、若い移住者チームが「伝統行事を存続させよう」と手伝いに名乗りを上げ、町全体で「祭りを成功させよう」と士気を高めている。

 「ピンク、赤、青…」。20日午前9時ごろ、真鶴港の西側に組み立てられた「小早船」(長さ約13メートル、幅約2.5メートル)の前に町民らが集まり、竹ひごに花飾りを付ける作業に取りかかっていた。地元漁師らが船の組み立てを進める傍らで、針金の留め方や色の順番について指南を受けた移住者女性の一人は「色鮮やかな船の装飾に、こんな手間がかかっていたとは知らなかった。祭りの一員になれているようで感慨深い」と笑みを見せた。

 小早船保存会の高橋守会長(69)によると、同まつりの準備は今月5日から開始した。数年前から手順をマニュアル化し「限りある時間内で完成できるよう工夫している」という。平日昼間に準備を進めることもあり、高齢の男性層が多い同保存会だが「今年は初めて若い世代や移住者に参加してもらい、活気にあふれている」と実感する。

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