子育て支援の拡充目立つ 育児に最大90日間の有給休暇

2023年度の人事制度改正の特徴として、育児休業をはじめとする子育て支援を拡充する動きが目立つ。現在、育児・介護休業法の見直しに向けた議論が進められているが、法改正を上回る取組も少なくない。

グラクソ・スミスクライン(東京都港区)は4月1日から、新たな育児・看護特別有給休暇制度の運用を開始した。

まず育児特別有給休暇は、4月以降に出生する子どもを養育する社員で母親・父親ともに取得が可能。子どもが2歳になるまで最大で18週間、90営業日分の休暇が使え、産後8週間の法定休暇や育児休職後に追加して取得することもできる。

一方、看護特別有給休暇は、4月以降に家族を看護する場合に、最大で4週間、20営業日分の休暇を容認。看護対象は配偶者や子ども、父母、養父母、同居かつ扶養の祖父母・兄弟姉妹・孫で、取得理由は「終末期を看取る」「深刻な健康悪化状態にあって看護する」場合に限る。

両休暇とも勤続年数に関係なく、入社直後でも取得が可能。また同性婚・事実婚は問わず、全ての社員を制度の対象とするほか、100%有給の休暇を1週間ごとに分割取得することも認める。


大和リース(大阪府大阪市)は4月1日、子どもが誕生した職員に一時金を支給する「エンジェル奨励金」制度の支給基準を変更し、支給額を大幅に見直した。変更前の支給水準は、第1子を30万円、第2子を50万円、第3子以降1人につき100万円だったが、出生時育児休業も含めて男性が取得した育児休業日数に応じて支給額にメリハリを付ける。

具体的には、取得日数が「30日未満」「30日以上90日未満」「90日以上」の順に、第1子の場合は30万円、50万円、100万円、第2子の場合は50万円、70万円、100万円、第3子は日数に関係なく100万円に設定。なお奨励金の申請には従前通り、育児タスクの見える化とワンオぺレーション防止のための「家事・育児シェアシート」の提出を必須とする。


BPОサービスなどを展開するうるる(東京都中央区)は4月1日、子どもの看護や幼稚園・学校行事などに参加する際に取得できる「こども休暇(子の看護休暇)」について、試験的に有給化に踏み切った。従前のこども休暇は無給で、勤続1年以上の正社員を対象としていたが、4月以降は有給に改めた上で勤続年数の要件を撤廃。併せて介護休暇についても4月から、試験的に有給化を開始した。

コールセンター運営のTMJ(東京都新宿区)は4月1日に人事制度を改正し、育児短時間勤務制度を利用できる対象期間を拡充した。従前までの対象期間は小学3年生終了時までだったが、いわゆる小4の壁を打破するために「小学校卒業まで」に延長。このほか、育児や介護を理由にやむを得ず退職する際に、新たに「本人の希望があれば再雇用する旨を伝える」ことを徹底している。

22年度に男性の育児休業取得率100%を達成した読売広告社(東京都港区)では、チームメンバーなど周囲のサポートする側を支援する制度を導入。取得した育児休業期間に応じて、1週間の場合は5万円、2週間の場合は10万円を育児休業取得者の所属部署に対して支給している。

読売広告社での育児休業取得者の様子

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