長崎県内の5高校演劇部員 孤児救済に尽力「岩永マキ」の半生を熱演 浦上天主堂で観客魅了

熱演する岩永マキ役の田中さん(右から2人目)ら=浦上天主堂

 長崎県内5高校の演劇部員約50人が23日、長崎市本尾町の浦上天主堂で、近くの潜伏キリシタンの家に生まれ「日本の孤児救済の先駆者」と呼ばれる岩永マキ(1849~1920年)を題材にした劇を上演。波乱に満ちたマキの人生の物語に約720人の観客を引き込んだ。
 演目は「岩永マキ物語~Great Mother」。マキは「浦上四番崩れ」で岡山に流配され、約4年後の1873年に帰郷。赤痢や天然痘に苦しむ人々を看護したほか、900人以上の孤児を引き取り育てたとされる。浦上養育院の源流となった。
 劇は長崎南山中・高の西経一校長が発案。毎熊義幸演劇部顧問が脚本を書き、県高校文化連盟演劇専門部に加盟する純心女子、海星、県立長崎北、創成館に呼びかけ5校の合同劇とした。流配から信徒が帰郷してから150周年の節目に当たるとして、カトリック長崎大司教区の記念事業として上演した。
 劇は、現代の若者が長崎原爆やキリシタン弾圧、さらにマキの半生を振り返る展開。部員らは、信徒が役人による残虐な行為に耐えながら信仰を貫く姿などを迫真の演技で伝えた。同市のお告げのマリア修道会のシスター、松本ユリ子さん(77)は「感動して涙が出た」と感想を述べた。
 マキ役を演じた創成館高3年の田中穂乃華さん(17)は「浦上養育院を訪ねてマキさんの人としての温かさや深い信仰心を知り、それを伝えたかった」と振り返った。

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