創成館 守って頂点 5年ぶりの甲子園へ 第105回全国高校野球長崎大会・最終日

【決勝、創成館―海星】2失点で完投した創成館の永本=県営ビッグNスタジアム

 第105回全国高校野球選手権記念長崎大会最終日は24日、長崎市の県営ビッグNスタジアムで決勝が行われ、第5シード創成館が第3シード海星に3-2で競り勝ち、5年ぶり3度目の優勝を飾った。
 創成館は初回2死満塁から、下川の適時内野安打に悪送球が絡んで2点を先行。四回は四球と敵失で1死二、三塁として、東の右犠飛で1点を加えた。五回以降は海星に反撃されたが、右腕永本が粘り強く完投。五、九回に1点ずつを返されたものの、続くピンチをしのぎ、バックも無失策で支えた。
 海星は0-3の五回1死二塁から、峯の左越え適時二塁打で1点を返したが、続く好機を併殺で逃すと、七回の無死一、三塁、八回の2死満塁も無得点に終わった。九回に再び峯の中前適時打で1点差に迫り、なおも1死一、三塁と攻めたが、後続を断たれた。
 創成館が出場する全国高校野球選手権は8月6日に兵庫県西宮市の甲子園球場で開幕。組み合わせ抽選会は同3日に大阪市内で行われる。

◎創成館 「苦戦しても敗戦しない」を完遂

 「苦戦しても敗戦しない」のスローガンを完遂した。創成館が紙一重の勝負を立て続けに制して5年ぶりに王座を奪回。「なかなか勝てなかった世代。一戦一戦成長してくれた。最高にうれしい」。稙田監督がこうかみしめたように、今季ここまで無冠のチームが最も大事な夏空の下で大輪の花を咲かせた。
 スタメン9人中6人が身長160センチ台という小柄な選手たちが、チームの代名詞として定着している「守り勝つ野球」を体現。昨年の決勝で敗れていた海星に同じ舞台で雪辱した。その中心にいたのは投打の大黒柱、168センチの永本。144球で完投した準決勝の疲れも心配されたが、志願の先発マウンドで、走者を出しても粘投を続けた。
 特に八回2死満塁は圧巻だった。それまで2安打されていた海星の永田を、フルカウントから渾身(こんしん)の138キロで見逃し三振に。直前に2球続けてわずかに外れた内角直球を貫き、完璧に決めた。
 バックも鉄壁だった。七回1死二、三塁のピンチは、三塁線のゴロで本塁タッチアウト。捕球した松﨑は走者の背中とかぶって投げにくい中でコースを間違わず、捕手山下はバウンドボールを難なくつかんだ。続く一、三塁はディレードスチールに山下が再び冷静に対応。絶妙なタイミングと送球で一走を刺した。
 「(永本)翔規を助けたかった」。松﨑も山下も同じ言葉を口にした。ゲームセットの瞬間、そんな仲間たちが会心の笑顔で駆け寄ってくる姿に、右腕もまた「最高だった。感謝したい」と飛び切りの笑みで返した。悔しさを厳しい練習で埋めて、自信と信頼を力に変えた選手たちの胸に金メダルが輝いた。

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