千葉県立3病院「アクシデント」で9人死亡 ヒヤリ・ハットは過去最多 死亡1件で原因調査 22年度

千葉県がんセンター

 千葉県病院局は24日、県立6病院で2022年度、医療に起因して患者の死亡や後遺症が残るなどした「アクシデント」が83件発生し、そのうち3病院の9件(前年度比4件減)が死亡事案だと発表した。死亡事案の1件については、病院に調査委員会を設置し原因を調べている。

 同局は医療提供の結果、大きな影響が出た「アクシデント」事案と影響が小さかった「ヒヤリ・ハット」事案に分類して公表しており、ヒヤリ・ハットは1万906件(同687件増)で、過去最多を更新した。

 同局によると、患者が死亡したのは、がんセンター5件、救急医療センター1件、循環器病センター3件の計9件。このうち、循環器病センターの1件については、病院提供の医療に起因した死亡が疑われ、死亡が予期されていなかったなどとして、医療事故として調査委員会が原因を調べている。プライバシー保護を理由に詳細は非公表。

 アクシデントは3段階で分類され、死亡事案は「レベル5」。永続的な障害や後遺症が残った事案は「レベル4」で6件、入院を必要とする処置や治療を要した事案は「レベル3b」で68件だった。アクシデントの合計は、がんセンターが35件でトップ。21件の循環器病センターが続いた。

 アクシデントの原因は、「治療・処置」による合併症が最多の63件。次いで転倒や禁食指示忘れなどの「療養上の世話」が8件だった。

 ヒヤリ・ハットは、「療養上の世話」が3048件で1位。薬の内服忘れなどの「薬剤」が2662件で続いた。同局の担当者は「医師や看護師に積極的な報告を求めている」とし、報告意識の向上がヒヤリ・ハットの過去最多更新の要因と分析した。

 同局は、これまでに調査対象となっていた後遺症が残った1件の調査結果も公表した。肺がん再発の治療で、患者が1型糖尿病を発症した事案で「医療過誤はなかった」と判断された。

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