比残留の3人、日本国籍回復へ 戦後78年「遅過ぎる」

 【サンタクルス共同】フィリピン南部ミンダナオ島サンタクルスで、太平洋戦争時に家族で米軍捕虜となり、解放後も現地で生活苦に耐えてきた日系2世のきょうだい3人が24日、日本国籍を回復できると伝えられた。戦後78年を迎え、3人は78~85歳。喜びつつも「遅過ぎる」と嘆息した。

 漁業者だった日本人の父と姉2人、兄1人は終戦時に捕虜収容所から熊本県に強制送還され、既に死亡した。日本を訪れ、生き別れた家族に再会したいとの3人の悲願は実現不能となっている。

 熊本家裁山鹿支部が11日、星子ハルコペラヒアさん(84)ら3人に対し、日本の役所で戸籍を新たに作る「就籍」を許可。支援団体「フィリピン日系人リーガルサポートセンター」(東京)の猪俣典弘代表理事が24日、サンタクルスの集落を訪れ、3人に直接伝えた。

 父が日本人の日系2世は父系の血統を採用する当時のフィリピンの法律で日本国籍が与えられたはずだが、書類の遺失で証明できない例が多い。3人は家族の捕虜記録を証拠として提出できた。

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