奄美大島の生物 空港持ち込み急増 前年度比2.6倍、国天然記念物の没収も 環境省22年度

生物の持ち出しやアマミノクロウサギの交通事故死について報告があった協議会=25日、奄美市名瀬

 環境省は25日、世界自然遺産の鹿児島県奄美大島の生物が2022年度、奄美空港に47件持ち込まれたと明らかにした。18件だった前年度の2.6倍。新型コロナウイルス感染が落ち着き来島者が増えたことが要因の一つとみられる。採取・捕獲が禁止された種の島外持ち出しや摘発はなかった。

 同省や島内5市町村が参加した県の希少野生生物保護対策協議会で報告した。ほとんどが法や条例などの規制がない種だった。国指定天然記念物オカヤドカリを勘違いで持ち出そうとした例が数件あり、没収して採取場所に放した。

 規制のないシリケンイモリの大量持ち出しが21年に続きあり、一度に200匹が搬出された。同じ場所で繰り返されれば生態系に影響が出る恐れがある。同省は「大量持ち出しの規制など対策を議論する場を設けたい」とした。

 アマミノクロウサギの今年の島内の交通事故死は、6月末までに74件。年間107件で最多だった22年の同時期比1.85倍と増加傾向にあると報告した。

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