<社説>バスケW杯まで1カ月 世界のバスケどころに

 日本、フィリピン、インドネシアの3カ国が共催し、日本では沖縄市の沖縄アリーナが会場となるバスケットボール男子ワールドカップ(W杯)は開幕まで1カ月を切った。 大会には32カ国が出場する。沖縄アリーナでは日本を含めた8カ国のゲームを予定。世界最高峰の米国のNBAで活躍する選手らのプレーが展開される。

 日本開催は前身大会の世界選手権が2006年に開催されて以来。国内では沖縄アリーナが唯一の会場だ。選手のほか、来沖が予想される各国のファンを歓迎したい。

 24年夏のパリ五輪の予選を兼ねており、日本はアジア最上位に与えられる五輪出場権の獲得を目標に掲げている。

 世界ランキング36位の日本は1次リーグで11位のドイツ、24位のフィンランド、3位のオーストラリアと対戦する。格上との厳しい戦いが予想されるが、磨きをかける3点シュートを軸とした攻撃と自国開催のアドバンテージを生かして躍進してほしい。

 沖縄は国内でも随一と言えるバスケ人気の高さを誇る。1900年代初頭には導入され、30年代にはバスケリングが設置された首里城正殿前の写真が残る。

 戦後は米軍基地に接収された本島中部などでボールやリングなど用具が入手しやすかったこと、琉米親善などをうたった大会で米側の選手との実戦の機会があった。他県に比べて競技に親しむことのできる環境があったのだ。

 情熱的な指導者らの存在も大きい。小中高の各年代での全国大会での活躍も県内でのバスケの知名度向上につながったと言える。裾野が広がり、競技団体に登録している競技者数1万4千人超は人口比率で全国1位だという。

 さらには琉球ゴールデンキングスの活躍がある。bjリーグに2007年から参入。同リーグで優勝4度。16年からはNBLと統合したBリーグで西地区の雄として君臨し、ことし念願の初優勝を果たした。その熱もさめやらない中でのW杯の県内開催だ。

 各国からの応援者や国内観戦者らが大挙して訪れよう。経済効果は約60億円との分析予測もある。スポーツツーリズムの推進に向けても今大会は試金石ともなるだろう。来県、来沖した方々の満足度の把握なども通して、各種競技大会の誘致にも生かしたい。

 沖縄アリーナで試合に臨むジョージア、オーストラリア、カボベルデは県内で事前合宿に入り、子どもたちとの交流も予定している。

 県内高校バスケを指導者として牽引(けんいん)した安里幸男さんは、沖縄の子どもたちがトップ選手のプレーに間近で接する意義に触れ、「その中から次代を背負う、日本を代表するプレーヤーが生まれる」と期待している。

 頂点を目指した戦いに臨むトップ選手らを温かく迎え、バスケどころ沖縄を世界に知らしめたい。

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