『神経質な飼い主』が猫に与える悪影響3つ お互いが心地よく過ごすための改善策とは

猫の飼い主には神経質な人が多い?

某新聞に、ある動物病院の院長先生が書かれた記事が掲載されていて、その中には『飼っている動物によって、飼い主さんの性格に一定の傾向が感じられる』とありました。

その傾向をまとめると、下記のようになります。

飼っている動物によってみられる飼い主の性格の傾向

犬の飼い主

社交的で明るくおおらかな人が多い

猫の飼い主

独立心があり一匹狼の雰囲気を持ち律儀で神経質な面のある人が多い

エキゾチックアニマルの飼い主

時間外診療が多く無口な傾向がある

例えば「1週間後に再診に来てください」と言うと、きっちり1週間目に訪れるのは、猫の飼い主さんが多いという印象なのだそうです。もちろん先生の私見であり、科学的な根拠に基づいた論文ではありません。でも、人の感覚というものは案外当たっているように思います。

この先生の記事では他にも『犬や猫を見れば、飼い主さんがどんな人かを想像できる』とも書かれていました。顔つきや表情、性格などが、飼い主さんとよく似ているのだそうです。先生曰く、飼い主さんと犬や猫の間にも「ミラーリング効果」があるのだということです。

そこで探してみたところ、ハンガリーの大学が『猫にも人間の動きを真似する能力が備わっている』という研究論文を発表していることが分かりました。やはり猫と飼い主さんの間にもミラーリング効果があり、仕草や性格などがよく似てくるのだといえそうです。

だとすれば、飼い主さんがあまりにも神経質すぎる場合、愛猫に良くない影響を与えていることもあるのではないでしょうか。

「神経質な飼い主」が猫に与える悪影響

冒頭に書いたように、猫と飼い主さんの間にミラーリング効果があるとしたら、神経質な飼い主さんが愛猫に与える悪影響があるかもしれません。

そこでここからは、「神経質な飼い主」が猫に与える悪影響ついて考えてみたいと思います。

1.繊細で神経質な性格の猫になりやすい

神経質な人の特徴というと、よくいわれるのが「細かい」「計画通りに進まないと気がすまない」「完璧主義」というようなものではないでしょうか。

神経質な飼い主さんが、愛猫の健康管理を完璧にやり遂げようとするあまり、周囲の細かいことがいちいち気になって神経過敏になる様子が容易に想像できそうです。

前述のミラーリング効果により、愛猫がこのような性格に似てきてしまうと、周囲の些細な変化にも繊細で敏感に反応する、神経質で臆病な性格になりやすそうです。

2.飼い主さんへの依存度が高くなりやすい

神経質で愛猫の健康管理を完璧にやり遂げようとする飼い主さんは、できる限り愛猫のそばにいて世話を焼いたり様子を観察したりすることでしょう。常に近い距離で飼い主さんと一緒に過ごすことで、猫は飼い主さんへの依存度をどんどん高めていくと考えられます。

しかし、飼い主さんへの依存度が高くなりすぎる猫は、ほんの少し飼い主さんの姿が見えなくなっただけで不安になり問題行動を起こす「分離不安症」を引き起こしやすくなるため、注意が必要です。

3.ストレスが溜まって体調を崩すことも

常に身近に飼い主さんが寄り添い観察されている状態では、猫も気が休まる時がありません。ストレスが溜まりすぎると、自律神経のバランスが崩れて体調を崩しやすくなります。

また、飼い主さんは健康管理の必須事項として排泄の様子をじっと観察しているのかもしれません。しかし猫にしてみれば、落ち着いて排泄することができず、ついには排尿を我慢するようになり、膀胱炎などの泌尿器系の病気を発症することにもつながる危険性があります。

お互いが心地良く過ごすための改善策

飼い主さんが神経質になりすぎるのだとしたら、それは愛猫を大切に思う気持ちが強いからだといえるでしょう。愛猫に痛く苦しい思いをさせたくない気持ちが強いために、愛猫の栄養管理や衛生管理、健康管理を完璧にやり遂げようとするのです。

しかし、あまり距離感が近くなりすぎるのは、猫にとっても飼い主さんにとっても息が詰まる状態です。しかもそれが、24時間×365日×20年近く続くわけです。

つまり、完璧主義をやめ、「これだけは毎日行わなければならない基本項目」を絞り込み、それ以外は「できる時にできる範囲でやる」というスタンスに変えることが、改善策になりそうです。

ちなみに筆者は、「これだけは必ず毎日行う項目」として絞り込んでいます。

  • 食事管理
  • トイレ掃除
  • 遊ぶ時間を作る

「食事管理」では、給仕の際に食べたフードの量、飲んだ水の量の計測も行います。「トイレ掃除」は、排泄物の観察や尿を吸い込んだペットシーツの量から排尿量の計測も行います。「遊ぶ時間を作る」では、1日10〜15分はじっくりと愛猫と向き合って、一緒に遊びながら、そのときの動きや元気さの観察も行っています。

また、上記以外の「歯磨き」「体重測定」「爪切り」など諸々のケアは、愛猫の様子や自分のスケジュールを見ながら適宜できる範囲で行うようにすることで、平均70点程度のレベルを目標に愛猫と一緒に過ごしています。

また愛猫のためには、いざという時以外は決して飼い主さんが介入しない、猫がひとりきりになれる隠れ家を用意してあげることも、大切な改善策になるでしょう。

まとめ

家に迎え入れたばかりの頃の愛猫と、その後十数年間を一緒に暮らしてきた愛猫を比べると、1日の生活時間帯から寛ぐときの体勢まで、随分と変わってきたと実感しています。それは、筆者と愛猫が一緒に暮らす中で、お互いに影響しあって一緒に作ってきた生活習慣なのだろうと思います。

こう考えると、間違いなく飼い主の生活や性格は、愛猫に影響を与えています。できるだけ悪い影響を与えないよう、愛猫のためにも常に自身の生活や性格を振り返り、改善すべき点は改善していきたいと思います。

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