中国籍女性3800万円“特殊詐欺”被害…在日中国人も「犯罪のターゲット」の“背景”

不安をあおり個人情報を聞き出したり、金銭を詐取する事件が相次いでいるという(aijiro / PIXTA)

「Aさんの名義で携帯が購入されている」「中国の警察に電話してほしい」――。

7月8日午前10時ごろ。中国籍の女性Aさんが在宅中に中国の携帯電話会社社員を名乗る人物から非通知でそんな着信を受けた。

慌てたAさんが携帯電話会社社員に教えられた番号に電話したところ、

「Aさんの名前が詐欺集団のリストに載っていて、犯人としてAさんに逮捕状が出ている」などと不安をあおり、指定された口座に計4回、計3800万円を詐取される事件が大阪で起きた。

「詐欺集団の金か確認する必要がある」

社会部記者が事件の経緯について説明する。

「中国の警察を名乗る人物はAさんをSNSに誘導した後、偽造した逮捕状の写真をAさんに送り、『Aさんのお金が詐欺集団の金か確認する必要があるので警察の口座に振り込んでほしい』と惑わした上で指定した口座に計3800万円を振り込ませました。ですが入金確認後以降、警察を名乗る人物からの連絡が途絶え、不審に思ったAさんが配偶者に相談。警察に被害届を提出し事件が発覚しました」

被害に遭ったAさんは詐欺にかかるまで、携帯会社社員、警察を名乗る人物らとすべて中国語でやりとりをしているが、振込先に指定されたのは日本国内にある個人口座だったという…。

大使館や中国の警察を名乗る人物が…

今回、詐欺被害に遭ったAさんのように、近年では在日中国人をターゲットにした中国人による犯罪が「散見してきている」と前出の社会部記者が続ける。

「一時期トレンドになったのが、大使館などをかたる中国語の音声ガイダンスから始まる詐欺電話です。音声案内の『在留カードが間もなく失効する』などの案内に従って指定された番号をプッシュすると、大使館や中国の警察を名乗る人物が電話口に出て『あなた名義のパスポートを所持した犯人を逮捕した』『あなたも詐欺の犯人だと狙われている』などと、今回被害に遭ったAさんと同じように不安をあおり個人情報を聞き出したり、金銭を詐取する事件が相次いでいます。こうした事件が起こる背景には名前と電話番号を記載した在日中国人の名簿が出回っていることが考えられます」

出入国在留管理庁の資料によると、令和4年6月末現在、在日中国人の人口は約74万人と他の在日外国人のなかでも群を抜いている。今後も日本国内で『中国人による中国人を狙った犯罪』は増えていくのかもしれない。警察当局は注意喚起を促している……。

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