赤いメガホン歓喜の波 夏の高校野球決勝・文星付応援席 声出し解禁、OBも祝福

2回に文星付が追加点を奪い、喜びに沸く応援席=25日午前、県営球場

 第105回全国高校野球選手権記念栃木大会は、文星芸大付属の劇的なサヨナラ勝ちで幕を下ろした。25日の県営球場には大勢の観衆が詰め掛け、熱戦に一喜一憂。今大会から待ちに待った声出し応援も解禁され、両校の応援席からは大きな声援が飛んだ。文星芸大付属が決勝で作新学院と対戦するのは4年ぶり。当時敗れたOBもスタンドからエールを送り、後輩たちの殊勲に留飲を下げた。

 野球部の控え部員や教職員、保護者ら約700人が埋め尽くした三塁側の文星芸大付属応援席。試合は初回から幸先良く得点を重ね、赤いメガホンが波打つように揺れた。

 今大会から4年ぶりに声出し応援が解禁され、真夏の青空にナインの背中を押す声が響き渡る。決勝に合わせ、2週間前に急きょ、女子生徒によるチアリーディングとブラスバンド隊を結成。応援団長の3年吉崎瑛祐(よしざきえいすけ)さん(17)は「これまでで一番の応援をする」と思いを込め、先頭に立って声をからした。

 4年前の決勝は作新学院に2-6で敗戦。当時ベンチメンバーだった大越裕紀(おおこしひろき)さん(22)は「自分たちは雰囲気にのまれたが、今年は違う」と思い切りの良いスイングをする後輩を頼もしそうに見詰めた。

 同点とされた後の九回裏、黒崎翔太(くろさきしょうた)が放った打球が左翼席で跳ねると「やばい」と大興奮。「リベンジしてくれてありがとう。(高根澤力(たかねざわつとむ))監督のうれし涙も見られた。甲子園でも大暴れしてほしい」と共に観戦した同級生たちと肩を組んだ。

 16年前の優勝メンバーも祝福した。ソフトボール女子JDリーグホンダの加藤一秀(かとうかずひで)監督(34)は当時、2番・三塁手で聖地に立った。この日はインターネット配信で試合を見守り「母校が勝ち本当にうれしい。甲子園は空気もがらっと変わる。重圧もかかるが、楽しみながら自分たちの120%の力を出してほしい」と話した。

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