乾燥路面で冬タイヤ、夏用より制動距離長く 北海道4人死亡事故の軽も JAF「履きつぶし避けて」

 北海道大樹町で軽乗用車と乗用車が衝突し4人が死亡した事故で、道警広尾署は25日、軽乗用車がスタッドレスタイヤ(冬タイヤ)を装着していたと明らかにした。事故との関係は不明だが、冬タイヤは夏タイヤに比べ、乾燥した路面ではブレーキをかけてから停車するまでの距離(制動距離)が長くなる。同じ雪国の青森県でも、夏場も冬タイヤを装着し続ける運転手が一定数おり、自動車関係団体などは季節に応じた適正なタイヤの装着や安全運転の徹底を呼びかけている。

 日本自動車連盟(東京、JAF)は夏タイヤと冬タイヤを装着した車を走行させ、制動距離を比較する実証実験動画を公開している。摩耗程度が同一のタイヤで比べると、時速60キロで走行した場合、冬タイヤの方が制動距離が2.5メートル長くなり、時速100キロだと制動距離の差は7メートルに延びた。

 ぬれた路面では、冬タイヤの方が時速60キロで3.6メートル、時速100キロでは21.4メートル長かった。カーブでの制動距離は時速60キロで冬タイヤが2.4メートル長くなったほか、踏ん張りが利かず、外側へ膨らむ幅も大きくなるとの結果が出た。

 一方、2014年にJAF青森支店が県内千人のドライバーを対象にした聞き取り調査によると、100人が冬タイヤを履きつぶしていると回答した。

 同支店の三橋一仁さんは「タイヤは季節に応じて交換するのが理想。冬タイヤは軟らかいゴムを使っているため、暑さで溶けて性能が劣化することもある。履きつぶしは推奨できない」と話す。

 冬タイヤはブレーキ性能などで夏タイヤと差はあるものの、装着して走行することは違反には当たらない。タイヤメーカーからなる日本自動車タイヤ協会(東京)の担当者は「タイヤの特性に違いがあることを頭に入れた上で、法定速度を守り、急加速や急ブレーキなどを避け、安全運転することが大切」と呼びかける。

 北海道の事故は23日朝、片側1車線の緩やかなカーブで発生。同署は軽乗用車が対向車線にはみ出したとみて捜査を進めている。

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