堀正工業、粉飾に手を染めた“初期衝動”

粉飾決算で約50行から資金を調達し7月24日、東京地裁から破産開始決定を受けた堀正工業(株)(TSR企業コード:291038832、品川区)。その類を見ない粉飾決算に手を染めた“初期衝動”がわかってきた。

東京商工リサーチが独自入手した破産申立書などによると、前代表の時代に業績悪化から取引先に仕入代金の支払い期日の延期を申し入れたことがあった。だが、これを拒否され、金融機関に追加融資を要請したが、利益が出ていないことを理由に応じてもらえなかった。

2003年に現代表が就任すると、こうした轍を二度と踏まないために「融資を受けるためには利益が出ていることが必須」と考え、決算を粉飾して追加融資を受けるようになったという。
適切な処理で作成した決算では赤字で実質的に債務超過となるため、当期利益が出るように売上高の金額を上げた。また、辻褄を合わせるために仕入金額を調整し、貸付金や借入金などにも手を加えた。こうして完成した決算書を税務署に提出したうえで、取引金融機関ごとに異なる粉飾決算書を作成していた。

粉飾決算は、遅くとも現代表が就任した2003年から継続的に行われていた。

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