新連載『BRUDER×EV』では、フルEVを毎回決まったコースで試乗し、バッテリー残量やルート上にある充電スポットにおける30分(1回)あたりの充電量などデータを収集。日常の走行シーンを想定してレポートする。今回紹介するのはメルセデス・ベンツ「EQE350+」。以前この連載で紹介した「EQS450+」の弟分にあたる。
メルセデス・ベンツは2016年にBEV(バッテリー電気自動車)専業のブランドである「EQ」を立ち上げた。2019年に日本に上陸したSUVモデル「EQC」を皮切りに、現在ではBEVの「Aクラス」である「EQA」も登場し、一連のモデルが出そろった。今回試乗した「EQE」はBEVの「Eクラス」ともいうべき一台だ。
全長4955mmのボディはフロントボンネットからルーフライン、そしてリアエンドまでが弓のようなカーブを描く「ワンボウ・デザイン」で、兄貴分の「EQS」と酷似している。
インテリアのデザインもEQSによく似ており、ダッシュパネル中央にiPadが立てかけてあるようなデザインが標準となる。空気抵抗を減らすためキャビンの上半分が絞られており、室内空間はEクラスという響きから想像するほど広くはない。だが、床下にバッテリーを置くBEVはホイールベース(前輪と後輪の間の距離)を長く取る必要があるため、必然的にリアのシートスペースは内燃機モデルよりも広めに確保されている。
EQE350+の、モーターは一基で後輪駆動。バッテリー容量は90.4kWhで、公表されている一充電あたりの航続距離は660km(WLTモード)となっている。
試乗コースは都内から茨城県鉾田市にある「ザ・ロイヤルゴルフクラブ」を往復する256km。出発前にバッテリーを100%の状態まで充電すると、メーターパネル内に表示されていた航続距離は663kmだった。(※直近の走行パターンも含めた演算の可能性もあるので、参考データとしてお考え下さい)。ちなみにEQSの航続距離は715kmだった。
EQSを試乗した際にも感じた、際立った静粛性はEQEにもしっかりと受け継がれていた。静かでフワッとした快適な乗り心地で256kmを走り終えたバッテリーの電力消費量は43%で、バッテリー1%の消費で5.96km走行した計算になる。ちなみに往路は22%(5.81km/%)、復路は21%(6.09km/%)の消費だった。
別の機会で、サービスエリアにおいて30分×2度の充電を行った。1度目は東関東自動車道・幕張SA下り線の「eMOBILITY POWER」で、20%(走行距離119km分)の充電ができた。2度目は東関東自動車道・酒々井SA上り線の「EV QUICK CHARGE」(こちらは少し型が古め)で、14%(83.3km分)を充電することができた。EQEは普通充電(AC200V)と急速充電 DC(CHAdeMO)に対応している。車両の充電ポートは右のリアフェンダーに装備されている。0-100%までの充電時間は3kWの充電器で約30時間、6kWでは約15時間という結果が出ている。
今回のテストでEQEは同じコースを2往復しても余裕のある航続距離が確保されていることが分かった。満充電ではなく、バッテリー残量が半分くらいでも「ザ・ロイヤルゴルフクラブ」を往復できるし、30%程度の残量でも、途中で急速充電を30分程度行えば十分走ることができそうだ。
メルセデス・ベンツ EQE 350+ 車両本体価格: 1251万円(税込)
- バッテリー容量 | 90.4 kWh
- 一充電最大走行可能距離 | 660 km(WLTCモード)
- バッテリー100 % 時表示距離 | 663 km(今回テスト時) ※2
- 256 Km 走行時の電力消費量 | 43 %
- 今回のテストでの電力消費量 | 5.95 km / % 6.58 km / kW ※1
- eMOBILITY POWER(30分) | 20 %(走行距離:119 km 分)※2
- EV QUICK CHARG(30分) | 14 %(走行距離:83.3 km 分)※2
- 0-100% 充電時間(6 kw / h) | 約15 時間
- 0-100% 充電時間(3 kw / h) | 約30 時間
- ※1: km/%はBMW iX M60のバッテリー容量1%当たりの走行距離。Km/kWは電力1kWあたりの走行距離で、こちらの数値によって他車との比較が可能になります
- ※2:直近の走行パターンも含めた演算になります。参考データとしてお考え下さい
Text : Takuo Yoshida