「生きた化石」の全国大会 オオサンショウウオの生態学ぶ、古座川町で10月

県教育委員会の許可を得て捕獲、調査したオオサンショウウオ(2022年10月、和歌山県古座川町平井で)

 オオサンショウウオの生態を学ぶシンポジウム「日本オオサンショウウオの会古座川大会」(大会実行委員会主催)が10月28、29日、和歌山県古座川町内で開かれる。県内では初の開催。研究者らの講演や現地観察会などがある。古座川の生物に詳しい田上智士実行委員長(59)=古座川町洞尾=は「大会をきっかけに豊かな古座川の自然を知ってほしい」と話している。

 オオサンショウウオは国指定の特別天然記念物。世界最大の両生類で、生きた化石とも呼ばれる。しかし、数十年前に食用として輸入されたとされる中国のチュウゴクオオサンショウウオとの交雑種が全国各地で見つかり、問題視されている。

 一方、古座川の個体群は約60年前、兵庫県朝来市から町内に持ち込まれたオオサンショウウオが河川に流出して繁殖、数を増やしたとみられている。移入種(国内外来種)が異なる環境下で数を増やしている例は少ないという。

 また、京都大学の遺伝子調査で、ここの移入種は日本の固有種であることが分かっており、チュウゴクオオサンショウウオとの交雑種は見つかっていない。生息場所が水系上流部の奥地であるため、固有種が守られている可能性が高いとみられている。

 こうしたことから、日本オオサンショウウオの会の会員から「古座川の個体や環境を見たい」という声が多く、同会の清水善吉会長=三重県松阪市=から「全国大会の開催地に立候補してみないか」と声かけがあり、大会開催が実現した。

 大会は研究や保護活動に携わる人同士の情報交換を目的に毎年全国各地で開かれ、今回が18回目。

 28日は「山と海をつなぐ古座川」をテーマに県立自然博物館や近畿大学などの研究者が講演する。古座川町高池小学校5年生の発表もある。29日は同町平井で現地観察会があるほか、白浜町在住の写真家、内山りゅうさんによる講演などを予定している。

 会場は講演や発表が町立体育館(古座川町高池)、展示や物販は隣接の町中央公民館。参加費は2千円、定員は200人程度。申し込みは8月末まで。古座川町民は無料で自由に参加できる。

 田上さんは「地元の人にも来ていただきたい。オオサンショウウオを保護する活動から関係人口を増やし、地域活性化につなげたい」と意気込んでいる。

 申し込みは、申込書を大会事務局の古座川ゆず平井の里(〒649.4453、古座川町平井469)へ郵送かFAX(0735.77.0506)、メールすればよい。申込書は日本オオサンショウウオの会のホームページからダウンロードできる。問い合わせは古座川ゆず平井の里(0735.77.0123)へ。

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