紙の保険証廃止巡り河野デジタル相へ集中砲火 「政府対国会」の様相  参院閉会中審査

参院特別委の閉会中審査で答弁する河野デジタル相。右は加藤厚労相=26日午前

 マイナンバーカードと関連する制度についての参院地方創生・デジタル社会形成特別委員会の閉会中審査が26日に開かれた。紙の健康保険証の来秋廃止に向けた政府対応を、野党は「人ごとだ」と非難。与党からも「期限ありき」「行政の都合」との批判が出た。河野太郎デジタル相(衆院神奈川15区)は集中砲火を浴びながらも「迅速に普及を進める」との姿勢を変えず、マイナンバーカードを巡る一連の問題は「政府対国会」(自民幹部)の様相を呈してきた。

 「利用者ではなく行政の都合が前面に出ている。政府も一体感を欠く」。公明党の上田勇氏は「国民の理解が広がっていないのは事実」と河野氏をただした。上田氏はかつて公明県本部代表を務め、その当時の自民県連会長は河野氏という間柄だ。与党パートナーからの指摘に河野氏は「真摯(しんし)に受けとめたい」と神妙に応じ、「『行かない市役所 スマホで完結』などの政策目標をさらに周知していき不安を解消していきたい」と説明した。

 前デジタル大臣政務官で自民の山田太郎氏は「与党でも『期限ありきではない』との声が大きくなっている。不安を抱えて無理くりやるのではだめだ。デジタル全体の信頼がかかっており、理解を得るやり方を進めてほしい」と来秋廃止の見直しを求めた。河野氏は「不安があるのは承知している」としたが「来秋以降も1年の猶予期間があり、その間にも説明を尽くして不安を払拭したい」などと従来の答弁を繰り返した。

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