エリック・B&ラキム『Follow The Leader』解説:2枚目のジンクスを乗り越え支持された作品

ヒップホップの黎明期から、MCとDJの関係は、慣習を無視することで定義されるこのジャンルにおいて、最も特異でありながら伝統的なものだった。

1987年、ニューヨークを拠点とするデュオ、エリック・B&ラキムは初のスタジオ・アルバム『Paid In Full』をリリースした。「Eric B. Is President」という曲で知られるこのアルバムは、ミニマルなプロダクションと、ジェームス・ブラウンからフォンダ・レイを含む広範なサンプリングで作られたサウンドが、ラキムの先駆的でゲームチェンジャー的なフロウの下に重ねられており、後にヒップホップ界で最も手強いデュオとなることを証明する注目すべき序章となり、続く『Follow The Leader』の下地を作った。

『Paid In Full』は、アルバム・タイトル曲や「Eric B. Is President」を含む5曲のラジオ・シングルを生み出したが、全米アルバムチャートでは58位に留まった。このアルバムは多くのファンを惹きつけたが、メインストリームの批評家はほとんど生ぬるい反応だったのだ。

それでも、ラキムのリリシズムは賞賛を集め、彼らの2作目へのハードルは高くなっていた。それからわずか1年後、MCAレコードとの新たな契約のもと、エリック・B&ラキムは1988年7月26日に『Follow The Leader』をリリースすることになる。 

2枚目のジンクスを乗り越える

ニューヨークのパワー・プレイ・スタジオで制作・録音された『Follow The Leader』では、ラキムの弟スティーヴィー・ブラス・グリフィンが様々な楽器を演奏している。一般的に2ndアルバムは、常にアーティストの才能を試すものとみなされる。1枚目の良いアルバムはそれまで煮詰められた想いが込められ、はたまた偶然の産物かもしれないが、良い作品を続けて出すことができるというのは、アーティストとして成長し、変化し、発展する能力を物語っているからだ。そしてエリック・B&ラキムは2ndアルバム『Follow The Leader』で期待を裏切らなかった。

デビュー・アルバム『Paid In Full』で見せた急成長の才能を土台に、このアルバムではエリック・B.のプロデュースはますます複雑になり、ずる賢く器用なサンプルをふんだんに使ったトラックが、見事にラキムの歌詞を支えている。

『Follow The Leader』でのラキムによるリリックの存在感は、彼のスキルの大きな進化を表している。一行一行に説得力のある韻を踏む才能に磨きをかけたラキムは、そのスピードと内容そのものを倍増させた。彼は韻に次ぐ韻を踏み、切迫感と冷静さを同時に感じさせるトーンでビートに乗っている。

彼の虚栄に満ちたストーリーテリングは、批評家やカルチャー全体から支持された。本作『Follow The Leader』は、その年の音楽的功績のひとつとして称賛され、ほぼすべての批評家が『Paid In Full』より優れていると評価している。ロサンゼルス・タイムズ紙に寄稿した音楽評論家のジョナサン・ゴールドは、ラキムのリリックの巧みさとヴォーカルの抑制をこう賞賛した。

「彼の鋭いライムは、彼以下のラッパーが叫ぶようなところで、ほとんどささやくようなものであるために、逆により破壊的である」

その成功

『Follow The Leader』はビルボードのトップ・ポップ・アルバム・チャートで22位を記録し、「Follow The Leader」「Microphone Fiend」「The R」「Lyrics Of Fury」といった4曲のシングルを生んだ。また、このアルバムはリリースの年にゴールド・ディスクを獲得している。

MCとプロデューサーの関係は微妙なものだ。プロデューサーのビートが重すぎたり、複雑すぎたり、繰り返しすぎたりすると、パワフルな歌詞でさえかき消されてしまう危険性がある。最悪の場合、歌詞はつまらないものになり、韻は無意味なものになる。

『Follow The Leader』での錬金術のような成功に不可欠だったのは、エリック・Bとラキムの個々の芸術的スキルであるが、彼らのコラボレーションにとって最も重要なのは、押し引きをしながらも個々のスペースを共有することだった。2人の貢献が、どちらか1人では成し得なかったような、豊かで果てしなく重層的な作品を生み出すことを可能にしたのだ。

Written By uDiscover Team

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