「値段以上に魅力・価値ある」ウナギ業界の将来担う人材育てる 高校生が学校で養殖=静岡・焼津市

土用の丑の日を前に7月26日、静岡市の百貨店で焼津水産高校の生徒がウナギの販売をしました。高校生が育てた夏のスタミナグルメ。静岡県内でも進む「ウナギ離れ」の解消に向け若い力が躍動しています。

創業57年、静岡市駿河区で人気の「いし橋うなぎ店」。書き入れ時の土用の丑の日を前に店内はお客さんでにぎわい、ウナギが次から次に焼かれていました。景気がいいように見えますが、ウナギ業界には、いま逆風が吹いています。

<いし橋うなぎ店 女将 石橋悦子さん>

「稚魚があまりとれていないみたい。稚魚がとれない分、(ウナギに)携わる人が減ってくると思う」

稚魚の数が減り、ウナギが値上がりしているだけでなく、ウナギ業界の人手不足が懸念されているのです。おいしいウナギを安定的に供給するには、どうしたらいいのか。この問題の解決に県内の高校が挑んでいます。

<焼津水産高校の生徒>

「水産高校のウナギいかがですか」

松坂屋静岡店の食品コーナーで声を出すのは焼津水産高校の生徒たち。PRしていたのは、自分たちが学校で育てたウナギです。焼津水産高校では、生徒が客の声を直接聞くため、毎年、店頭販売に参加しています。

<焼津水産高校3年生 小長井 力さん>

「去年の3年生が育ててくれたウナギを自分たちで引き継いで育てている」

<客>

「なるほどね。すごいね」

焼津水産高校の実習場です。ハウスの中にはウナギの池が10面あり、栽培漁業科の生徒たちが、ここで2万匹のウナギを育てています。養鰻場があり、ウナギの養殖を学べる高校は全国的にも極めて珍しいといいます。

<焼津水産高校 蒔田和一朗教諭>

「(焼津は)昭和40年代に立派な産地として有名だった。ウナギは焼津に限る、と言われた時代もあった。その伝統を引き継いでやっている」

大井川の伏流水で磨かれたウナギ。こちらの高校ではエサなどに薬を使わない「無投薬」での育て方を実践しています。

<焼津水産高校3年生 岡本紗恵さん>

「苦労して育てたウナギが大きくなってくると、ああ、良かったなって」

<焼津水産高校3年生 村松愛翔さん>

「自分たちの育てたウナギが、いろんな人に買ってもらえるので、うれしい」

生徒たちが愛情込めて育てたウナギの味は?

<滝澤悠希キャスター>

「いただきます。脂がさっぱりしていて、しつこさがない。臭みもなくて上品な味です」

<松坂屋静岡店営業部 上垰憲史さん>

「地元の生産者が育てた地産地消が提供したい価値。値段以上に魅力・価値のあることだと思っています」

ウナギに携わる人材の輩出へ。ウナギの養殖発祥の地、静岡の高校が将来のウナギ業界を支えるカギになります。

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