山の安全へ製品開発 県警とモンベル連携協定

辰野会長(左)と共に協定書を掲げる石井本部長=26日、県警本部

 全国トップクラスの救助技術を誇る富山県警山岳警備隊のノウハウが、アウトドア用品大手「モンベル」(大阪市)の製品開発に生かされている。協力関係をさらに深めるため、県警と同社は26日、連携協定を結び、安全・安心な登山の実現に取り組むことを申し合わせた。モンベルが都道府県警と協定を結ぶのは全国初。

 県警とモンベルによると、山岳警備隊は1年半ほど前から、要救助者を運ぶ同社の「背負いバンド」の開発に協力。山での訓練で試作品を使い、意見を伝えた。

 現在は試作の最終段階。主な材料を従来の帆布からナイロンに変えて軽量化するなどの改良を重ねてきた。既に実際の救助現場で活用しているという。

 協定を機に、県警は他の救助用装備の開発にも協力する予定。モンベルの会員組織「モンベルクラブ」の会報誌や、モンベルグループ発行の山岳雑誌「岳人」に隊員が寄稿するなどし、遭難事故への注意を呼びかけることも検討している。

 26日は県警本部で協定締結式があり、石井敬千本部長が出席。モンベルの辰野勇代表取締役会長はリモート参加し、それぞれが協定書に署名した。石井本部長は「多くの方に立山の自然を楽しんでもらえるよう、取り組みを進めたい」、辰野会長は「やれることはたくさんあると思うので、協力したい」と語った。

画面越しにグータッチする辰野会長(左)と石井本部長
県警が開発に協力したモンベル製の背負いベルト
背負いベルトを着用する県警山岳警備隊の飛弾晶夫隊長(左)

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