コメダvs.ドトール、決算発表で株価はどう動いたのか−−両社に訪れた“あるあるパターン”とは

2023年4月20日の連載「コメダとドトールでは儲けの仕組みがまったく異なる!? 決算後の株価が跳ねた2社の伸び代を分析」で、両社の2023年度2月期の決算内容と、2024年度2月期の予想について分析しました。決算発表後、2社とも株価は跳ねましたが、その後の展開として、個人的にはドトールの追い上げに期待したいと括っています。

あれから3ヵ月、両社の第1四半期決算はどうだったのでしょう? 株価の動きとあわせてチェックしたいと思います。


優等生コメダ

まずはコロナ禍でも赤字を掘らなかった優等生、コメダホールディングス(3543)から。

画像:コメダホールディングス「2024年2月期第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」より引用

2023年7月12日(水)に発表された2023年4月期第2四半期決算は、①売上収益10,454(百万円)、②前年同期比+16.7%、③営業利益2,256(百万円)、④前年同期比+21.2%と相変わらず優秀です。通期の営業利益予想は8,700(百万円)なので、進捗率は25.9%と想定通りのスタートを切ったようです。店舗数はこの3ヵ月で新規に8店舗増加(合計995店舗)し、こちらも順調。

まったく減点ポイントがない決算内容でしたが、翌日の株価は−2.5%の下落。これはまさに優等生銘柄あるあるで、つねに成績がよいだけに、高得点でも評価してもらえないのです。ただそれほど大きな下落ではないので、短期的な株価上昇を取りたかった人の売りが出ただけで、コメダを愛する多くの投資家は、そのままホールドしているのではないでしょうか?

一方のドトールは?

次にコロナで大ダメージを負い、2021年度、2022年度と2期にわたって赤字を掘ったドトール・日レスホールディングス(3087)です。コロナが5類へ移行したことで、ビジネス街の人流もかなり回復しているので、決算内容にも期待がかかります。

画像:ドトール・日レスホールディングス「2023年2月期 第1四半期決算短信」より引用

7月14日(金)に発表された2023年4月期第2四半期決算は、①売上高35,176(百万円)、②前年同期比+15.2%、③営業利益2,166(百万円)、④前年同期比+122.8%と、こちらも素晴らしい数字です。通期の営業利益予想7,282(百万円)に対する進捗率は29.7%なので、想定以上の好スタートと言えるでしょう。

なにより素晴らしいのは、営業利益率の改善です。前3ヵ月(2022年11月~2023年2月)は2.9%でしたが、直近の3ヵ月は6.2%と大幅アップです。人件費、光熱費は引き続き利益の押し下げ要因となっていますが、それ以上に価格改定や、利益率の高い直営店の売上回復が、利益率アップにつながっているようです。

また決算と同時に、第2四半期末の配当予想を16円から20円に増額、年間で36円となりました。前期は30円なのでこちらも大幅増配です。仮に下半期も好調であれば、さらに期末の配当額も増額する可能性もあります。

前回もお話ししましたが、わたしの娘はドトールで1年ほど前からバイトをしております。1年続くと思っていませんでしたが、とても居心地がよいようで、学業以上に励んでおります。先日は、優秀なバイト生に選ばれたと得意気に話しておりました。バイトであっても新しいメニューの勉強会などにも参加、この1年間で昇給もし、今のところやめる気配はなさそうです。

娘が働いている店舗のバイト生は、わりと長く続いている人が多く、なかには高校在学中に入って、大学卒業まで続けている人もいるそう。飲食店の人手不足が深刻化する中、長期で働く人材がいるというのは貴重です。

肝心の株価ですが、決算発表翌日は、−1.2%と下落しています。取引開始時は、前日より高く始まりましたが、その後、売りにおされてマイナスに転じており、決算発表後によくあるパターンのひとつです。

しかし、その翌日から3日連続上昇しており、あらためて決算のよさが見直された形です。

両社の前回4月の決算からの株価推移を比較

画像:TradingViewより

前回の決算発表後(A)は、両社とも株価が大きく上昇しましたが、そのあとはあまり動かず第1四半期決算を迎えています。そして、第1四半期決算発表後(B)、両社ともいったんは下げましたが、その後上昇。ただし、ドトールの上昇率のほうが高く、一気にコメダを追い抜いています。

コメダは引き続き独自路線で、安定した数字を出してくると思います。今期の予想は、過去最高益ですが、おそらく卒なく達成するでしょう。優待目的で長期保有の個人投資家も多いため、株価が暴落するリスクは低いと考えます。

一方のドトールは、急激に業績を回復していますが、営業利益でいえば、コロナ前の7割程度の回復見込みです。この予想を裏切って、一気にコロナ前以上の業績となれば、株価はさらに一段上を目指しても不思議はありません。逆に、回復の勢いが鈍化すれば、投資家離れが起きる可能性も。

引き続き、2社の動向を見守りたいと思います。

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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