樋口新葉さん「諦めないで」 「夢の教室」で児童にエール 冬季五輪フィギュアで活躍 市川・稲荷木小

子どもたちに特別授業をする樋口さん=市川市

 2022年北京冬季五輪で活躍したフィギュアスケート選手、樋口新葉さん(22)が市川市立稲荷木小(松本啓祐校長)を訪れ、5年生に特別授業「夢の教室」を行った。挫折を乗り越えて五輪に出場するまでの経験を語り「後悔しないよう諦めず、頑張って」と夢の実現にエールを送った。

 樋口さんは東京都出身。3歳からスケートを始め、北京冬季五輪では個人戦ショートプログラムで世界5人目となるトリプルアクセルを成功させ、個人戦5位、団体戦3位と活躍した(ロシア選手のドーピング問題が浮上し暫定順位)。

 船橋市内のリンクを練習場所に使うなど千葉県とも縁がある。

 児童25人の前で授業に臨み、中学生で世界ジュニア選手権3位に入り注目されたが、けがに泣いて18年の平昌五輪の日本代表に落選したことや、新型コロナ禍で練習できず心が折れかけた自身の経験を紹介。それでも「(スケートを始めた当初の)楽しく滑りたい気持ちを思い出したこと」が、結果として北京五輪出場に結びついたと語った。

 「五輪に出て、諦めなくてよかったと思った」と強調した樋口さん。将来なりたい職業を披露した児童たちに「どんな夢でも後悔しないよう納得して進んでほしい」と呼びかけた。

 授業後、プロ野球選手が夢の須藤庵君(10)と美容師志望の柴田涼風さん(10)は「夢に向けて自分も頑張ろうと思った」と感想。樋口さんは「真剣に話を聞いてくれ、話しやすかった」と笑顔を浮かべた。授業前には体育館で児童と一緒に体を動かした。

 「夢の教室」は、日本サッカー協会が各競技のアスリートらと連携して主催する「こころのプロジェクト」の一環。市川市では15年度から夢を持つ素晴らしさなどを伝える授業として小中学校で実施している。

 樋口さんは都内の小学5年のときに同授業を受け、「スケートでオリンピック選手」と目標を書いた経験がある。同授業で生徒の立場から「先生」になった最初の例という。

授業の前にはゲームで児童と打ち解けた樋口さん(中央)

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