大阪で美術品が駐車場に6年、知事「作品へリスペクトない」

大阪府の定例会見が7月26日に実施され、府所蔵の美術品105点が「大阪府咲州庁舎」(大阪市住之江区)で6年間にわたり保管されているという報道について、吉村洋文知事が説明した。

大阪府庁(大阪市中央区)

今回問題となった美術作品105点は、府が収集した「20世紀美術コレクション」の一部。府では絵画や版画、彫刻、写真など約7900点の美術作品を所蔵しており、定期的に公共施設や民間施設に展示したり、無料貸し出しするなどの事業をおこなっている。

2012年に、同コレクションの大半は「府立江之子島文化芸術創造センター」(大阪市西区)に移動。しかし、同施設に入りきらなかった作品105点は、2017年に咲州庁舎の地下駐車場に保管されることになったという。

報道を見て初めて知ったという吉村知事は、「作品を作られた方は思いをもって作られた。あの保管方法では作品に対するリスペクトを感じ取れず不適切。速やかに別の保管場所に移動させる。民間倉庫だと数千万の保管料がかかるので、府有施設のなかで探す」と説明。

105点のほとんどが硬材が使われ熱にも強いという作品の今後については、「美術専門家の特別チームを作る。専門家に1点1点確認してもらい、美術館を作らない前提で多くの人の目に触れる展示のあり方がないか、意見を答申したい」と、展示の機会を作る方向性を示した。

取材・文・写真/岡田由佳子

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