【MLB】トレード期限まで1週間弱 ヤンキースはいまだ方針決まらず

写真:近日中の復帰が予想されているヤンキースのアーロン・ジャッジ @Getty Images

日本時間8月2日午前7時に設定されているトレード期限まで一週間を切り、エンゼルスがルーカス・ジオリトとレイナルド・ロペスを獲得するなど大きく動き出した今季の補強戦線だが、いまだに買い手に回るかどうか方針を決めかねている球団もある。そのひとつが現在ア・リーグ東地区最下位ながら、貯金6を持ちワイルドカード・ゲーム進出ラインを2.5ゲーム差で追っているヤンキースだ。データサイト「ファングラフス」のシミュレーションではプレーオフ進出確率31.7%とまだまだ可能性を残しているヤンキースだが、大きく動くにはリスクが大きいポジションでもあり、決断が迫られている。

ヤンキースが方針を決定するうえで、一番の難点となっているのが主砲アーロン・ジャッジの復帰時期だ。右足親指の靭帯断裂で戦線を離脱しているジャッジだが、離脱前までは35勝25敗、貯金10と好調だったチームが、離脱後は18勝23敗と昨年MVPのスターが勝敗に与える影響は大きく、復帰時期が遅れるようであれば勝負姿勢を取ったとしてもその後の戦いは難しいものとなることが予測される。ジャッジは今週すでに試合形式の練習をこなしており、早ければマイナーでのリハビリ出場を待たず日本時間29日の試合からメジャー復帰するという可能性も噂されているが、その状態には不安がつきまといそうだ。

難しい決断を迫られているヤンキースフロント陣だが、補強に動くとなればそのポイントは外野手とリリーフということになるだろう。特に最優先と思われるのが外野手で、ジャッジが復帰したとしてもハリソン・ベイダーやジャンカルロ・スタントンには常に故障の影がつきまとい、控え外野手の層も心もとない状況で、買い手に回ると決まっていない現段階からすでにディラン・カールソン(カージナルス)やランドール・グリチック(ロッキーズ)らの名前が候補として報じられている。また、本格的に力を入れて動く場合は、コディ・ベリンジャー(カブス)やタイラー・オニール(カージナルス)なども候補となりそうだ。

ただ、いずれにしてもフロントの決断はもう少し後になるだろう。ジャッジの状態に加えて、日本時間29日からは同地区の上位勢、オリオールズ、レイズとのカードが控えており、そこでの戦いぶりが試金石となりそうだ。しかし、市場は大谷翔平の獲得競争が事実上終了し、大谷獲得のために他選手の補強を控えていた複数のチームが一斉に動き出してもおかしくない様相となっている。動きが遅れてしまえば補強を逃す可能性もあるという状況下で名門球団はどのような動きを見せるのか、ブライアン・キャッシュマンGMの腕が試されている。

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