双子姉妹 夢の消防士へ 姉「サイレンにすくみ」妹は「押す力が足りなくて」研修で見た“現実”

火災や救助が必要な現場に素早く駆け付ける消防士。そんな職業に憧れて夢を叶えた双子の姉妹がいます。現在は静岡県の消防学校で学んでいますが、7月、第一線で働く先輩の消防士から、直接学ぶ研修がありました。2人が現場で直面した現実とは。

<妹・久保田優里奈さん>

「着る前にも頭の中で、最初、靴履いて、ズボン履いて、防火フードやってみたいな順番を何度もシュミレーションして」

駿東伊豆消防本部の新人消防士。久保田優里奈さんと双子の姉の紗里奈さんです。自宅で過ごす時も2人で話すのは訓練の内容です。

<姉・紗里奈さん>

「初任科の久保田紗里奈と申します。よろしくお願いします」

7月、姉の紗里奈さんは、田方中消防署へ研修に行きました。消防学校とは、別の緊張感がありました。

<田方中消防署 予防係 岡尚輝さん>

「操作始め」

紗里奈さんと優里奈さんが自宅で話していた出動の時に着る防火衣の着装訓練です。

<姉・紗里奈さん>

「防火衣着装中。防火フード着装よし。後方よし」

火災の現場に、いち早く駆け付けるため、着装時間の目安は、1分とされています。

<姉・紗里奈さん>

「着装よし」

着終わるまでに、1分半ほどかかった紗里奈さん。さらに…

<田方中消防署 予防係 齋藤凜さん>

「ヘルメットをちゃんと絞って。いま、ユルユルだよね。外れちゃうのでしっかり絞めて下さい」

自分の身を守るためには、速さだけではなく、確実に着こなすことが求められます。午後の訓練を終え、夕飯を食べている時でした。静岡県伊豆市の山中で、道に迷った高齢男性から救助の要請です。

紗里奈さん、見ていることしかできませんでした。

<姉・紗里奈さん>

「たくさんの先輩方が、いろんな装備品を持って、指令も聞いて、素早く車両に乗り込んだりするのを見ていて、ちょっとでも先輩方に近づけるようになって、所属に帰りたいなと感じました」

一方、妹の優里奈さんは、沼津北消防署での研修です。

<妹・久保田優里奈さん>

「すごく緊張してます。習ったことをちゃんと生かせるのかがちょっと不安なんですけど。実際、現場に入った時も、これを着てポンプ車に乗って、救急現場に行きますので」

救急隊を志望している優里奈さん。

<沼津北消防署 勝俣大介警防係長>

「ご家族の方、この方ですね。CPR開始。胸圧(胸骨圧迫)開始」

<妹・優里奈さん>

「1、2、3、4…」

<沼津北消防署 勝俣大介警防係長>

「30回でやめてね」

心肺停止の患者をいち早く搬送する訓練です。

<沼津北消防署 勝俣大介警防係長>

「ちゃんとやれ、ちゃんとやれ。押されても踏ん張りを効かせろ」

<妹・優里奈さん>

「よし。1、2、3、4、5」

<沼津北消防署 勝俣大介警防係長>

「胸骨圧迫やったけど、どうだった?」

<妹・優里奈さん>

「まだまだ押す力が足りなくて、5センチ押せているのかが不安なところだったので、もう少し強く押せるように努力したいです」

<沼津北消防署 勝俣大介警防係長>

「おれたちの目的は、救命もそうなんだけど、社会復帰をさせるのが一番の目的です。第一段階で胸骨圧迫をもっと強くしなかったら絶対に助からない」

<妹・優里奈さん>

「かっこいいなと思いました。先輩の姿を見ながら取り入れて、自分も声掛けだったりとか、動作とかをまねしていきたいです」

1秒の遅れが致命的なミスにつながる消防士という仕事。現場で見た先輩たちの姿を糧に2人はさらに学びを続けます。

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