外資の森林買収止まらず 22年41ha、目的不明も一定数 林野庁調査

2022年に外国資本が買収した森林の面積が計41ヘクタールだったことが林野庁の調査で分かった。うち37ヘクタールが北海道だった。調査結果のある06年以降、毎年新たな買収が発生しており、全国の累計は2732ヘクタールとなった。違法な開発などは見られないものの、購入時に利用目的が不明や未定とされた面積も一定数に上る。

水源などとして重要な森林が外資所有となることへの懸念を受け、同庁は10年に、06年にさかのぼって調査を開始。以降、都道府県を通じ外国人や外国法人の購入実態を毎年調べている。新たな森林所有者に義務付けている市町村への届け出などから集計する。

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22年に確認された森林買収は14件。米国やシンガポール、香港などの個人や法人が購入した。目的は「資産保有」が最多の9件で、住宅の建設などもあった。同庁によると22年は個人の取得が多く、大規模開発向けがなかったことで低水準となった。

買収の規模は年によって異なり、過去10年間では10ヘクタール台から300ヘクタール台までと幅がある。最多は18年の373ヘクタールで、太陽光発電向けに米国の法人が購入した兵庫県の2件258ヘクタールが押し上げた。

同庁は、外資以外の持つ森林を含め、不適正な開発を防ぎたい考え。これまで調査で把握した外資所有の森林は追跡調査をしており、「違法な転用などは確認されていない」(計画課)という。

森林法では、水害などにつながる開発を防ぐため、土の採掘や林地以外への転用などを1ヘクタール超で行う際は都道府県知事の許可が必要だと定めている。太陽光発電が目的の開発については4月から0・5ヘクタール超に厳格化した。伐採も市町村への届け出を義務付ける。

国内の外資系企業による22年の買収状況は20件70ヘクタール。06年以降の累計は302件6734ヘクタールだった。

農地は自ら耕作することが取得の条件になっており、実質的に外国資本が所有することはできない。しかし、森林には同様の条件はない。海外に居住していて、本人は管理ができなくとも買収することができる。

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