下水汚泥肥料化で協定 横浜市・JA横浜・全農かながわ

横浜市とJA横浜、JA全農かながわは27日、下水汚泥から回収する再生リンの肥料利用の促進に向けた連携協定を締結した。市は再生リンを供給し、JAは試験施肥、全農かながわは肥料の製品開発を担うなどそれぞれの強みを生かす。肥料の主原料となるリンの自給体制を地域内で構築することで、食料安全保障の強化や循環型社会の形成につなげる狙いだ。

3者は同日、JA横浜本店で連携協定の締結式を開いた。横浜市の山中竹春市長と同JAの柳下健一組合長、全農かながわの根本芳明県本部長らが出席した。

再生リンを供給する市は、国土交通省の事業を活用して下水汚泥から効率的にリンを回収する施設を新設する。総工費は約7億5000万円。本年度内の竣工(しゅんこう)を目指しており、年間約40トンの再生リンを供給する計画だ。再生リンの肥料登録や連携に関わる調整なども市が行う。

JAは市内の農家の視点を取り入れつつ、再生リンを配合した肥料の試験や管内流通、ブランド化や普及・啓発などに取り組む。花やキャベツなどから試験する予定だ。柳下組合長は「海外資源への依存度を減らし、地域資源を生かした持続的な農業への転換を進めたい」と話す。

全農かながわは肥料設計の他、製品の開発・製造などを担当する。全農が連携することで、再生リンを使う肥料の製造量が増えた場合、県内外での流通も見込めるようになる。

3者は2027年3月から9月まで横浜市で開かれる「横浜国際園芸博覧会」などを通じ、再生リンの肥料利用のPRにも力を入れる方針だ。

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