これも“関係人口”

 〈地方圏は、人口減少・高齢化により、地域づくりの担い手不足という課題に直面していますが、地域によっては若者を中心に、変化を生み出す人材が地域に入り始めており…〉▲「地方圏は」と始まる語り口に“当事者意識”の乏しさが透けて見える、とか、斜め上から見下ろされている気分…とかの感想は、ひとまず別の機会に。「関係人口」を説明する総務省のサイトから引いた▲“観光以上・移住未満”と要約されるように、ある程度の行き来を想定している概念だが、そうでなくても何らかの理由で愛着を感じてもらったり、応援してくれたり…人口減に沈む地域にはそれだけでも心強い▲大分、宮崎、福岡、熊本、福岡、佐賀、最後に福岡が3人。決勝戦の先発メンバーの出身地を改めて調べてみたら「長崎」は1人もいなかった。夏の全国高校野球選手権に本県の代表として出場する創成館高▲もちろん「野球留学」に対するさまざまな意見や複雑な感情は承知しているのだが、今は別のことを考えている。このチームは本県や諫早市の“関係人口”を安定的・継続的に生み出し続けているのだ。そう思うと、他県の出身者で固めたラインアップに違う意味が見えてこないか▲お祝いが後回しになった。ご出場おめでとうございます。素晴らしい夏を。(智)

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