2023年上半期“重要犯罪”最多は「強制わいせつ」 被害者は「20代女性」が圧倒的

下半期は犯罪が減ってほしい(yako / PIXTA)

警察庁は7月19日、2023年1〜6月分の犯罪統計を公表した。これによれば、2023年上半期の刑法犯認知件数の総数は33万3003件で、前年同時期に比べて約121%増だった。同統計資料で確認できる2019年以降、上半期の刑法犯認知件数は減少を続けていたものの、2023年は増加という結果になった。

上半期もっとも多かったのは「強制わいせつ」

重要犯罪(※1)で認知件数がもっとも多かったのは「強制わいせつ」で2370件、次いで「強制性交等」945件、「強盗」683件となった。

※1 治安情勢を観察する場合に、その指標となる犯罪。殺人、強盗、放火、強制性交等、略取誘拐・人身売買、強制わいせつ

重要犯罪 罪種別認知件数(警察庁「犯罪統計資料 令和5年1~6月分」をもとに弁護士JPが作成)

上半期もっとも多かった都道府県は…?

重要犯罪の認知件数を都道府県別で比較すると、東京都(689件)、大阪府(659件)、埼玉県(395件)など人口の多い都道府県が上位にランクインする。

重要犯罪 都道府県別認知件数(警察庁「犯罪統計資料 令和5年1~6月分」をもとに弁護士JPが作成)※上位10位

一方で「増減率」に着目すると、鹿児島県(前年同時期比122.6%)、愛媛県(同91.3%)、佐賀県(同87.5%)の順で増加率が高い。減少率は鳥取県(同-36.4%)、島根県(-31.8%)、山口県(-22.6%)の順で高いという結果になった。

重要犯罪 都道府県別認知件数 増加率(警察庁「犯罪統計資料 令和5年1~6月分」をもとに弁護士JPが作成)※上位10位
重要犯罪 都道府県別認知件数 減少率(警察庁「犯罪統計資料 令和5年1~6月分」をもとに弁護士JPが作成)※上位10位

被害者は「20代女性」が最多

同統計資料では、重要犯罪における被害者認知件数も公表されている。男女別の認知件数を見ると、男性は1036件、女性は3902件。

年齢別に見ると、男性は20~29歳(179件)、50~59歳(148件)、40~49歳(138件)の順で多く、女性は20~29歳(1305件)、13~19歳(1003件)、0~12歳(504件)の順で多かった。

重要犯罪 男性被害者の年齢別認知件数(警察庁「犯罪統計資料 令和5年1~6月分」をもとに弁護士JPが作成)
重要犯罪 女性被害者の年齢別認知件数(警察庁「犯罪統計資料 令和5年1~6月分」をもとに弁護士JPが作成)

男性は強盗被害がもっとも多く407件、女性は強制わいせつ被害がもっとも多く2278件、次いで強制性交等被害916件だった。

犯罪増加の背景

昨年の上半期に比べて刑法犯認知件数が増加した背景には、新型コロナの行動制限がなくなり、外出する人が増えた影響もあるだろう。下半期は犯罪が減ることを願う。

© 弁護士JP株式会社